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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第147回】アイアン・メイデンとは、正義。 “メイデンヘッドホン” でメタルの名曲を聴きまくる!

公開日 2016/02/26 10:15 高橋 敦
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▼Yngwie Malmsteen「Braveheart」

1997年発売「Facing The Animal」に収録:その1990年代における超絶技巧速弾きの火付け役が、1980年代に表舞台に現れ、それまでの速さの基準を塗り替えてしまったこの王者だ。速さだけではなく、コードアルペジオやハーモニックマイナースケールなどいわゆる「クラシカル」なフレージング、アプローチを、ウリ・ロート氏といった先人たちより明確、かつさらに刺激的な形で具現化し、一ジャンルとして定着させた功績も大きい。

そんな王者なので名曲はいくらでもあるのだが、この曲を選んだ理由はそのギタープレイが特に冴え渡っているから!…ではなく、本作に参加したドラマーのコージー・パウエル氏が「王者イングヴェイの作品で王者イングヴェイのギター並みにドラマーが目立つ」という偉業を成し遂げているからだ!

<聴きどころ:02分20秒〜03分22秒>
ギターソロの前の間奏…いやそもそも普通は「ギターソロが間奏」なんじゃないか?という話はメタル、ましてや王者には通用しないのだが、この曲の場合は「ギターソロの前の間奏」も「間奏ってレベルじゃねーぞ!」な派手さだ。そこでコジパウ氏は王者のギターにも負けないほどド迫力のドラミングを披露してくれている。

…でも…うん、この曲はもうちょっと乱暴にド迫力な再生をしてくれるヘッドホンのほうが合うかも。例えば、メイデンホンはドラムスの迫力をリスナーに向かってスパンッ!とタイトに最短距離で速く届けてくれるのだが、この曲のコジパウ氏のドラムスについてはもっとアバウトにぶん回す感じの方が気分に合う。ストレート系ではなくフック・アッパー系のパンチ力がほしいのだ。メイデンホンの真っ当さのためにこの曲のワイルドさにはフィットしないという「逆に!?」な印象に…。

▼Slayer「Angel Of Death」

1985年発売「Reign In Blood」に収録:前述のメガデスと共に「スラッシュ四天王(BIG4)」の一角を担うレジェンドが、その初期のまさに「スラッシュ!」な音楽性を一旦完成させた名盤からの一曲。「スラッシュの教科書」をめくったなら、「はじめに」という章で紹介されているであろう一曲だ。とにかくそういうものだ。

<聴きどころ:0分00秒〜00分38秒>
嵐のようなギターリフにパワーコードとベースとドラムスのアクセントが重なり、ボーカルが金切り声で絶叫しツーバスが炸裂する。まさに教科書通り。しかしこれは教科書通りに作られた曲などではない。教科書を作ったのがこの曲なのだ。

…これは合う!メイデンホンと合うぞ!ディストーションギターのエッジ、ザクザク感が完璧すぎる。キレキレだ。しかし薄刃のシャープさではなく、剃刀でも日本刀でもなく、西洋の大剣の暴虐さを感じさせるギターサウンドだ。「そんな手間かけて鍛えたり研いだり磨いたりしなくてもデカくて重くてざっくりと刃をつけとけばぶった切れるじゃん?」的な!

そして「ばかなの?」レベルに叩きまくるドラムスも、その一発一発が明確でいて大迫力!音を丁寧に拾い上げるだけではなく、その威力を損ねずにクリア。そうでなくては意味がない。そうであるから意味がある。さすがメイデンの名を冠するヘッドホン。これがメタルだ!

次ページいよいよ終盤、Porcupine TreeとDream Theater

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