HOME > レビュー > 【第148回】iPhoneでハイレゾ再生するための3つのポイント

[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第148回】iPhoneでハイレゾ再生するための3つのポイント

公開日 2016/03/08 10:40 高橋 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

■DAC搭載Lightning接続ポタアン or ヘッドホンを導入!

ということで、

●ハイレゾ音源を本来のクオリティで再生するには、ハイレゾ対応DAC搭載Lightning接続ポタアンまたはハイレゾ対応DAC搭載Lightning接続ヘッドホン or イヤホンも必要。

…の段階に入る。iPhoneが単体ではハイレゾ再生に対応しないなら、その役割を外部機器に任せてしまえばいいのだ。その対象が、Lightning端子に接続するタイプのポータブルヘッドホンアンプやヘッドホンだ。

ポタアンを使う場合のシステムは冒頭も載せたこんな感じ

iPhoneとポタアンをLightning-USBケーブルで接続して…


イヤホンやヘッドホンはポタアンのヘッドホン出力に接続する

こちらはiPhoneに接続するプラグがLightningになっているDAC搭載ヘッドホン

これらを接続してハイレゾ音源をハイレゾ対応再生アプリで再生すれば、ハイレゾ音源のデジタルデータはiPhoneからLightning経由でDAC回路に送られ、そこでデジタルデータからアナログ音声信号に変換された後に電気的に増幅され、その力でヘッドホンが駆動される。

そのデジタルデータをアナログ信号に変換する「DAC」という回路がハイレゾ再生システムの鍵だ。iPhohe内蔵のDAC回路は48kHzまでの対応。ハイレゾ対応と呼ばれる外付けオーディオのDAC回路は最低でも96kHz対応。ここの対応スペックの違いがいわゆる「ハイレゾ対応」の分かれ道だ。

そしてここをクリアすれば遂に、iPhoneをベースにしたハイレゾリスニングシステム完成!となる。

■DAC搭載lightning接続アイテムのタイプ解説

では最後はそのキーアイテムである、DAC搭載lightning接続アイテムをざっくりタイプ分けしつつその代表的な製品を紹介しておこう。

▼リモコンクリップポタアン

超小型ポタアンに音楽再生等の操作の基本ボタンまで搭載されていて、クリップで鞄のベルト等に気軽に留めておけるタイプ。小さく軽く操作にも便利で、多くの製品はLightning端子からの電力供給で動作するので充電作業は不要。使い勝手は実によい。

ロジテック「LHP-AHR192」(1万5000円前後)。同グループからハイレゾ再生アプリ「ELECOM Hi-Res Music Player」も提供される

▼スタンダードポタアン

いちばんよくあるサイズ感や形のポタアン。スマートフォンを2枚重ねたくらいのサイズ感、とでも言えば伝わりやすいだろうか。音質や機能を無理なくパッケージングできているものが多く、ここに属する製品がその時々の「ポタアンのスタンダード」を形成している。

TEAC「HA-P5」はこの春に発売予定の新モデル。まさに「今現在のスタンダード〜半歩先」を体現するモデルになりそうだ

▼スマートポタアン

スタンダードポタアンのサイズ感をスマートフォンを2枚重ねたくらいと表現したが、ならば厚みもだいたいスマホと同じくらいのサイズ感のポタアンはさしずめ「スマートポタアン」だろうか。ここに分類できる製品はまだそれほど多くないのだが、今後の進展を期待して一分野としてピックアップしておく。

OPPO「HA-2」(3万9000円前後)はスマートポタアンの先駆者。実は対応スペック周りなども最高レベルだったりする。写真は先日に限定発売されたウルトラスエードモデル

▼ヘヴィ級ポタアン

ポタアンは「ポータブル」アンプのはずなのだが、中には「いや持ち運べないわけじゃないけど…」というようなサイズや価格に強烈なスペックや物量を満載したモンスター級の製品もちょいちょい見受けられる。「小型化は…諦めた!」という潔い製品なので、ユーザーとしても「小型化は…諦める!」と覚悟して臨んでほしい。そこの合意さえできていれば、さすがの力を発揮してくれるはずだ。

ALO audio「The Continental Dual Mono」(19万5000円前後)。真空管搭載で、でかくて重くて熱い。しかし…音はよい!

▼Lightning接続ヘッドホン

こちらはヘッドホンのハウジング内にDAC搭載ポタアンを内蔵するアイテムだ。ヘッドホンとiPhoneの間にポタアンが挟まるシステムは重装備すぎる…という方も、ヘッドホンとiPhoneをLightningケーブル1本で直結するだけのこちらのシステムなら違和感は少ないことだろう。

Philips「Fidelio M2L」(4万3000円前後)はlightning接続だが48kHz/24bitまでの対応。音質的にはさすがの出来栄えなので、ハイレゾ派の方は次に期待だ

…だが、現時点ではまだ選択肢はほとんどない。しかし、もし仮に噂が正しく、次期iPhoneがイヤホン端子非搭載だった場合は、一気に盛り上がる可能性がある。いまから注視しておくべきだろう。

▼Lightning接続イヤホン

同じくこちらもDAC搭載ポタアン内蔵のイヤホン。こちらも現時点では製品はほとんどないが、同じく要注目分野だ。

リンクス「IC-Earphone」(9800円前後)も48kHz/24bitまでの対応だが、ただのリモコンにしか見えない部分にDACを搭載しつつこの価格!

■終わりに

というわけで今回は、iPhoneをベースにハイレゾリスニングシステムを構築する方法、そのためのアイテムを紹介した。現時点での基礎知識としては、今回の内容を把握しておけばおおよそ問題ないだろう。

しかしこれはあくまで「記事執筆時点」の話。例えば次期iPhoneが噂通りにイヤホン端子非搭載だった場合には、それに合わせて大きな変化が訪れる可能性も高い。極端な話、Apple純正Lightningイヤホンが登場してそれが96kHz/24bit対応だった日には、サードパーティ製品への影響も甚大なものになるだろう。

まあその場合でも、現時点での基礎知識はそのときにその意味を正しく理解する上での土台になるはずだ。いますぐ実践するしないは別として、頭の片隅に留めておいてもらえればと思う。

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域 バックナンバーはこちら

前へ 1 2 3 4

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE