HOME > レビュー > 【レビュー】楽しみ方自由自在! ティアックの新レコードプレーヤー「TN-570」を聴く

光デジタル出力も装備した話題作

【レビュー】楽しみ方自由自在! ティアックの新レコードプレーヤー「TN-570」を聴く

公開日 2016/03/10 10:00 山之内 正
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

ターンテーブルとしての基本性能は期待通りの高さ

カーペンターズの『ア・ソング・フォー・ユー』ではカレンのヴォーカルをウォームな音調で再生し、アナログレコードならではの温かみのあるサウンドを実感する。声の定位にブレがなく、各楽器のセパレーションも良好で、ターンテーブルシステムとしての基本性能は期待通りという印象を受ける。

まずは試聴室のリファレンスとしているフォノイコで試聴した

ベースが必要以上にふくらまず、ヴォーカルやギターをマスクしないことにも感心させられたが、タイトで鮮鋭な方向に行き過ぎるのではなく、ドライで細い音とは対極の豊かさをたたえている。

ティツィアーティ指揮スコットランド室内管弦楽団によるハイドンの交響曲を45回転のLPレコードで再生すると、静寂から立ち上がるトゥッティの描写に3次元の立体感が感じられ、S/NとダイナミックレンジについてもTN-350を明らかに上回っていることがわかる。カタログを見るとS/Nの数値に変わりはないのだが、シャーシの制振性が上がっているためか、音にまとわりつく付帯音が少なく、立ち上がりと立ち下がりがすっきりしているのだ。

音元出版試聴室に設置したTN-570。人造大理石が高級感を感じさせる

TEACロゴもさりげなく配置されておりスタイリッシュな仕上がりだ

ムラヴィンスキー指揮レニングラードフィルのチャイコフスキー『悲愴』は、解像感ではCDの方が上回るものの、各楽器の音が自然に溶け合って一体感のある響きが生まれ、部分ではなく演奏全体の特徴やオーケストラが生み出す強烈な推進力を聴き取ることができた。録音から半世紀以上を経た録音の場合、当時メインの音源だったレコードで再生した方が、作り手が目指した音に近いバランスが得られるのかもしれない。名録音とされるこの『悲愴』は特にその印象が強い。

内蔵フォノイコの音作りは力強さ重視、クオリティは十分

次に、背面パネルのスイッチを内蔵フォノイコライザーアンプの出力に切り替えて、ライン接続で同じレコードを再生した。リビングルームで手頃なサイズのアンプと組み合わせる場合など、こちらの方が一般的だと思う。

C-37のニュートラルな音調に比べると、内蔵フォノイコライザーアンプは音の志向がはっきりしていて、狙いが明確だ。ひとことで言えば力強さを狙った音調で、低音の豊かな量感や中域が迫り出す感触、中高域の勢いの強さなどに個性が感じられた。自然な音像定位や情報量では外部のフォノイコライザーアンプが有利だが、それは価格差を考えれば当然の結果である。TN-570の用途を考えれば、力強さを狙った内蔵イコライザーの音作りにはむしろ共感できる部分が多い。

内蔵フォノイコライザーで再生。「力強い音作りでねらいが明確に伝わってくる」と山之内氏

ヴォーカルはイメージが広がり気味だが、低い音域にはほどよいボディ感があり、温度感の高い音色を引き出す。ベースとドラムは多少引き締めたくなるほど力感があるが、量感に制約のあるコンパクトなブックシェルフ型と組み合わせる場合は、このぐらいのエネルギー感があった方が自然なバランスを引き出しやすいと思う。オーケストラはディテール描写が神経質なタッチにならず、伸びやかでゆったりとした音調で聴き手を包み込む。

カートリッジ交換で音質グレードアップを試みる

ここでカートリッジをゴールドリングの2500に交換し、音質のグレードアップを狙う。TN-570にはオーディオテクニカのAT100E同等のカートリッジが付属するが、2500はさらに高出力のIM型。TN-570の内蔵フォノイコライザーでそのまま鳴らせるので、価格を除けば導入のハードルは低い。

次ページカートリッジ変更の音質は? さらにデジタル出力も試す

前へ 1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー196号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.196
オーディオアクセサリー大全2025~2026
特別増刊
オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX

本ページからアフィリエイトプログラムによる収益を得ることがあります

NEWS
AV&ホームシアター
オーディオ
モバイル/PC
デジカメ
ホビー&カルチャー
過去のニュース
RANKING
イヤホン・ヘッドホン
AV機器売れ筋
さらに見る
AWARD
VGP
DGPイメージングアワード
DGPモバイルアワード
オーディオ銘機賞
オーディオアクセサリー銘機賞
アナロググランプリ
REVIEW
レビュー
コラム
注目製品クローズアップ
優秀録音ハイレゾ音源レビュー
さらに見る
連載
折原一也の“いまシュン!”ビジュアルプロダクト
高橋 敦のオーディオ絶対領域
山本 敦のAV進化論
角田郁雄のオーディオSUPREME
今週の発売新製品
アニソンオーディオポータル
さらに見る
INTERVIEW
インタビュー記事一覧
さらに見る
BRAND
注目ブランド情報
MAGAZINE
オーディオアクセサリー
analog
ホームシアターファイル
プレミアムヘッドホンガイド
プレミアムヘッドホンガイドマガジン
雑誌定期購読
雑誌読み放題サービス
メルマガ登録
SHOPPING
PHILE WEB.SHOP
通販モール