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バランス駆動ヘッドホンアンプの音質もチェック

ハイエンドオーディオ技術を卓上サイズに凝縮。AYREのDAC/ヘッドホンアンプ「CODEX」を聴く

公開日 2016/03/17 12:01 岩井喬
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ハイエンドオーディオを代表するブランドのひとつであるAyre(エアー)は、いちはやくUSB-DACを手がけるなどネットオーディオの分野でも先駆的存在である。このAyreが手がける初のUSB-DAC/ヘッドホンアンプ「CODEX」が話題を集めている。本機の性能を岩井喬氏が検証する。

Ayre「CODEX」 ¥198,000(税込)

1993年に創業し、セパレートアンプやデジタルプレーヤーなど、ハイエンドオーディオの世界で実績を積み重ねてきたAyre(エアー)は、ネットオーディオの世界が徐々に認知され始めた2009年、ハイエンドUSB-DAC「QB-9」を発表。まだハイエンド機が少なかった当時のネットオーディオの世界で、大きな話題となった。いち早くUSB伝送でのジッターを低減する非同期のアシンクロナス・モードを取り入れ、96kHz/24bitへの対応を含めファイル再生のグレードを一気に引き上げるきっかけになったという意味でも、QB-9はエポックメイキングなモデルである。

その後、2.8MHz DSDや192kHz/24bit PCMに対応するようになった「QB-9 DSD」を発表するなど、Ayreのネットオーディオに対する真摯な取り組みは年々熱を帯びてきているようだ。その動きのひとつとして見逃せないのが、クラウドファンディングを利用し開発されたポータブルプレーヤー「Pono Player」のコアとなる音響技術開発をAyreが担ったことである。Pono Playerはヘッドホンのバランス駆動にも対応するなど、ヘッドホン再生のツボを押さえた仕様にも感心させられた。

このPono Playerを通して、Ayreはヘッドホンリスニングの世界にも深い理解を得たはずで、そのノウハウがAyreブランドの製品にも投入されることが期待された。そして今年に入り、期待は現実のものとなった。5.6MHz DSDや384kHz/24bit PCMの再生対応したUSB-DAC、デジタル・プリアンプ、そしてバランス駆動対応ヘッドホンアンプまでをひとつにまとめた「CODEX」の登場である。

ハイエンド機で培われたAyre独自技術を惜しみなく投入

QB-9と比べると機能性を大幅に拡張したが、その筺体サイズはQB-9よりも大幅にスマートなものとなり、デスクトップユースを意識した縦置きスタイルを採用した。DACチップはESS製「ES9018」を搭載し、Ayreならではのシングルパス16倍オーバーサンプリング/MP(Minimum Phase)デジタルフィルターを装備。インパルス応答でのプリエコーを排除し、ポストリンギングもワンサイクルで抑えてナチュラルな音の再現性を獲得したという。

13インチのMac Book Proと組み合わせたところ。

アナログ回路は、オペアンプを使わない伝統のフルコンプリメンタリー/フルバランス・ディスクリート構成としている。ゲイン回路には、カスコード/カレントミラー回路を高度に発展させたという、直進性に優れる独自の“EquiLock回路”を採用。ゲイン・トランジスターの電源電圧を安定的に維持し、リニアな動作特性領域を保ち続けることで、動特性を改善した。

背面端子部

さらにライン出力には、“Ayreダイヤモンド回路”を採用。ダイヤモンド回路とは、コンプリメンタリーで構成した出力トランジスターを、上下対称に配置した初段トランジスターのエミッタフォロワーによってドライブするというもの。同社は、この回路をホット/コールドの各々にフルバランス構成で仕立てることで、高い電流駆動能力に加え、高S/N、低歪率も実現。さらにノンNFB構成とすることで、位相直進性も極限まで高めている。

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