HOME > レビュー > ハイエンドオーディオ技術を卓上サイズに凝縮。AYREのDAC/ヘッドホンアンプ「CODEX」を聴く

バランス駆動ヘッドホンアンプの音質もチェック

ハイエンドオーディオ技術を卓上サイズに凝縮。AYREのDAC/ヘッドホンアンプ「CODEX」を聴く

公開日 2016/03/17 12:01 岩井喬
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
3.5mmステレオミニ端子×2によるバランス駆動に対応

デジタル入力、非同期のアシンクロナス・モードを採用したUSB入力をQB-9から継承。加えて、光デジタル入力を1系統備えている。ヘッドホン出力は、φ6.3mmのステレオ標準端子と、バランス駆動との兼用となる2系統のφ3.5mmステレオミニ端子を用意する。このバランス駆動端子の構成はPono Playerと同様で、ソニーのヘッドホンアンプ「PHA-3」とも同じ方式だ。よってソニー製のバランス駆動対応ヘッドホンとの接続も可能だ。

バランス駆動は3.5mmステレオミニ端子×2で行う

3.5mm端子2つにジャックを挿すと、写真のように「BAL」の表示が現れるので、ボリュームノブを押して確定すれば、バランス駆動モードとなる

ライン出力はRCAとXLRの2系統を備え、プリアンプモードと出力固定のDACモードの選択が可能だ。電源部もリニア方式ディスクリート構成にこだわるAyreらしく、超低ノイズ・高安定性を誇る独自のAyreLockボルテージ・レギュレーターを搭載。小型機に多いACアダプターではなく、IECコネクターを使った本格的な仕様だ。

ヘッドホン組み合わせ試聴<1>シュア「SRH1840」
ナチュラルかつ密度の高い表現。鳴らしにくさを感じさせない

まずはCODEXのヘッドホン再生のクオリティを、通常のシングルエンド・アンバランス接続で確認してみた。はじめに用いたのは、ニュートラル基調のサウンド性を持つシュア「SRH1840」だ。

SHURE「SRH1840」¥OPEN(市場想定価格54,800円前後)と組み合わせたところ

この組み合わせでは、密度が高くスムーズな表現力が引き出され、特に高域では鮮度の高さを感じさせられる。ウッドベースなどの低域表現は、弾力よく滑らかだ。管弦楽器の付帯感なく爽やかな旋律は、ローエンドの締まり良いクリアな音場へ展開。個々のパートも粒立ち細かく、ナチュラルに浮き上がる。ロックのリズム隊もキレ良くしなやかで、ボーカルも自然に定位。余韻の階調の細やかさも見事で、ホールトーンの瑞々しい響きや、ボーカルにかけられたリヴァーブの表現まで丁寧に描ききる。

音場も広さがあり、DSD音源では音像が生々しく立体的。SRH1840は比較的鳴らしにくいヘッドホンだが、CODEXはそうした雰囲気を全く感じさせず、低域方向の伸びやかさもゆとりがある。モニターライクな硬質さとは裏腹の、朗らかかつ有機的なサウンドでドライブしてくれた。

ヘッドホン組み合わせ試聴<2>ゼンハイザー「HD650」
バランス駆動では低域が引き締まり、自然な余韻の響きまで引き出す

ここからはシングルエンド接続と、バランス駆動それぞれの能力を複数のヘッドホンで検証していきたい。一つ目はリファレンス機のロングセラー、ゼンハイザー「HD650」である。

SENNHEISER「HD 650」¥OPEN(市場想定価格65,000円前後)

アンバランス接続では、HD650ならではの濃密で流麗なサウンドが展開される。ストリングスは張り艶よく滑らかで、ホールトーンは豊潤な響きに包まれる。ベースラインは密度が高くリッチ。しかも、ただ豊かに押し出すのではなく、太さを持たせるとともに締まりの良いビートのキレもしっかりと表現。ピアノは温かみのある響きで、高域のハーモニクスは華やかだ。ボーカルは肉付き良く潤い良いテイストである。解像度も高く、安定感あるサウンドが楽しめた。

3.5mmステレオミニ端子×2に改造したHD 650の標準ケーブル。本機のような両出しタイプのケーブルの場合、比較的容易に改造が可能な場合が多い(改造は自己責任でお願いします)

ここでケーブルをφ3.5mmミニプラグ×2仕様へ改造したものと交換し、バランス駆動を試してみた。すると低域は弾力感が増し、締まりの良い表現へと移行。管弦楽器やピアノのボディも、密度を保ったままスリムに引き締めている。余韻の響きが自然で、旋律の動きも非常にスムーズだ。ボーカルは付帯音が抑えられ、口元の動きまでリアルに描き出される。

次ページCODEXでソニー「MDR-Z7」やベイヤー「T1 2nd」を鳴らす

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー196号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.196
オーディオアクセサリー大全2025~2026
特別増刊
オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX

本ページからアフィリエイトプログラムによる収益を得ることがあります

NEWS
AV&ホームシアター
オーディオ
モバイル/PC
デジカメ
ホビー&カルチャー
過去のニュース
RANKING
イヤホン・ヘッドホン
AV機器売れ筋
さらに見る
AWARD
VGP
DGPイメージングアワード
DGPモバイルアワード
オーディオ銘機賞
オーディオアクセサリー銘機賞
アナロググランプリ
REVIEW
レビュー
コラム
注目製品クローズアップ
優秀録音ハイレゾ音源レビュー
さらに見る
連載
折原一也の“いまシュン!”ビジュアルプロダクト
高橋 敦のオーディオ絶対領域
山本 敦のAV進化論
角田郁雄のオーディオSUPREME
今週の発売新製品
アニソンオーディオポータル
さらに見る
INTERVIEW
インタビュー記事一覧
さらに見る
BRAND
注目ブランド情報
MAGAZINE
オーディオアクセサリー
analog
ホームシアターファイル
プレミアムヘッドホンガイド
プレミアムヘッドホンガイドマガジン
雑誌定期購読
雑誌読み放題サービス
メルマガ登録
SHOPPING
PHILE WEB.SHOP
通販モール