FPGAを使った独自技術の全貌を紹介
CHORDが「DAVE/Mojo」で実現した“最先端” DAC技術。CEOやエンジニアが詳細を語る
タイムロードとアユートは、両社が取り扱うCHORDブランドのプレス向け懇親会を開催。CHORD Electronics社のCEOであるジョン・フランクス氏、エンジニアであるロバート・ワッツ氏が登場し、CHORDの開発思想や新製品の紹介を行った。
CHORDの製品は、日本国内ではタイムロードが長年取り扱いを行ってきたが、2015年10月より「Hugo」などポータブルオーディオ製品のみアユートに移管。タイムロードは引き続きホームオーディオ製品の取り扱いを続け、現在は2社によって国内展開されている。この2社がCHORDを紹介する合同イベントを開催したかたちだ。
■ロブとフランクスの邂逅がCHORDの驚くべきDACを産んだ
まずはCHORDのCEOであるジョン・フランクス氏が、CHORDが設立された背景から紹介をはじめた。まずは、自身がもともと航空電子工学関連の仕事に就いていたことに触れたフランクス氏。「航空電子は厳しい世界で、技術面であれ、周辺領域であれ、何か問題に直面したときには、代案的な対策で済ませることは許されません。私は若いときにそういう世界で育ったので、オーディオの会社を起業した際にも、そのノウハウを運営に活かしてきました」とそのバックボーンを紹介した。こうした問題解決への厳しい姿勢は、パートナーであるロバート・ワッツ氏との関わりにおいても同様なのだという。
CHORDは設立から間もなく、英国の国営放送局BBCの要求に応えて製作した業務用アンプのサンプルが認められ、同局に納入されることになったことから、オーディオブランドとしての最初の飛躍を手にした。そして1994年、北米で開催されたCESにて、ジョンとロバートが邂逅することで、世界で最も先進的なD/Aコンバーターを開発するメーカーとしての道を歩み始めた。「若くて精力的なDAC設計者との、運命的な出会いがあったのです」とフランクス氏は語った。
両氏は共に英国出身だが、当時フランクス氏は南東部のケント州に、ワッツ氏はウェールズの近くに居を構えていた。「ケント州に住んでいると話したら、ロブ(ロバート・ワッツ氏)は『両親がもうすぐケント州に引っ越すんだ』と言いました。よくよく場所を聞くと、僕の家のすぐ近く。しかも、ロブの両親が引っ越した家は、昔私の家族が住んでいた家でした。そんな奇遇もありました」(フランクス氏)。
■ロブの奇想天外なDAC構想に「最初はクレイジーだと思った」
ロバート・ワッツ氏が実際にCHORDに合流したのはその1年後の1995年だった。「ロブは奇想天外なDACの構想を持って、私を訪ねてきたのです」とフランクス氏は回想する。
それはFPGAを用いたDACの構想だった。しかし非常に大きな処理能力が必要で、FPGAのチップは4つも必要なのだという。チップ1枚あたりの価格は約50ドル。通常のDACチップならば2ドル程度だ。「クレイジーな話だと思いました。正直、これはよく話を聞かないと危ないなと思いました。しかし音を聴いて驚きました。デジタルオーディオで、ここまでほぐれた音を聴いたのは初めてでした」(フランクス氏)。
ワッツ氏の持ち込んだDAC構想は大きなコストを要するものだったが、フランクス氏は航空電子工学での経験から、「技術面での根本的な解決は、大きなコストをかけてでも果たすべき」と考えた。そして、ワッツ氏はCHORDに合流し、二人によるDAC開発が始まった。
最初にできた製品が名機「DAC64」だ。その筐体の形状は、現在まで続いている“コーラルレンジ”が採用されている。以来、CHORDは25年にわたってFPGAを用いたD/Aコンバーターの開発を続けてきた。そして、ムーアの法則によるチップの集積化、低コスト化が進んだことで、Mojoのようなコンパクトな製品にFPGAを搭載することも、FPGAによってより複雑かつ膨大な処理を要するDAVEを開発することも可能になったと同氏は語る。
CHORDの製品は、日本国内ではタイムロードが長年取り扱いを行ってきたが、2015年10月より「Hugo」などポータブルオーディオ製品のみアユートに移管。タイムロードは引き続きホームオーディオ製品の取り扱いを続け、現在は2社によって国内展開されている。この2社がCHORDを紹介する合同イベントを開催したかたちだ。
■ロブとフランクスの邂逅がCHORDの驚くべきDACを産んだ
まずはCHORDのCEOであるジョン・フランクス氏が、CHORDが設立された背景から紹介をはじめた。まずは、自身がもともと航空電子工学関連の仕事に就いていたことに触れたフランクス氏。「航空電子は厳しい世界で、技術面であれ、周辺領域であれ、何か問題に直面したときには、代案的な対策で済ませることは許されません。私は若いときにそういう世界で育ったので、オーディオの会社を起業した際にも、そのノウハウを運営に活かしてきました」とそのバックボーンを紹介した。こうした問題解決への厳しい姿勢は、パートナーであるロバート・ワッツ氏との関わりにおいても同様なのだという。
CHORDは設立から間もなく、英国の国営放送局BBCの要求に応えて製作した業務用アンプのサンプルが認められ、同局に納入されることになったことから、オーディオブランドとしての最初の飛躍を手にした。そして1994年、北米で開催されたCESにて、ジョンとロバートが邂逅することで、世界で最も先進的なD/Aコンバーターを開発するメーカーとしての道を歩み始めた。「若くて精力的なDAC設計者との、運命的な出会いがあったのです」とフランクス氏は語った。
両氏は共に英国出身だが、当時フランクス氏は南東部のケント州に、ワッツ氏はウェールズの近くに居を構えていた。「ケント州に住んでいると話したら、ロブ(ロバート・ワッツ氏)は『両親がもうすぐケント州に引っ越すんだ』と言いました。よくよく場所を聞くと、僕の家のすぐ近く。しかも、ロブの両親が引っ越した家は、昔私の家族が住んでいた家でした。そんな奇遇もありました」(フランクス氏)。
■ロブの奇想天外なDAC構想に「最初はクレイジーだと思った」
ロバート・ワッツ氏が実際にCHORDに合流したのはその1年後の1995年だった。「ロブは奇想天外なDACの構想を持って、私を訪ねてきたのです」とフランクス氏は回想する。
それはFPGAを用いたDACの構想だった。しかし非常に大きな処理能力が必要で、FPGAのチップは4つも必要なのだという。チップ1枚あたりの価格は約50ドル。通常のDACチップならば2ドル程度だ。「クレイジーな話だと思いました。正直、これはよく話を聞かないと危ないなと思いました。しかし音を聴いて驚きました。デジタルオーディオで、ここまでほぐれた音を聴いたのは初めてでした」(フランクス氏)。
ワッツ氏の持ち込んだDAC構想は大きなコストを要するものだったが、フランクス氏は航空電子工学での経験から、「技術面での根本的な解決は、大きなコストをかけてでも果たすべき」と考えた。そして、ワッツ氏はCHORDに合流し、二人によるDAC開発が始まった。
最初にできた製品が名機「DAC64」だ。その筐体の形状は、現在まで続いている“コーラルレンジ”が採用されている。以来、CHORDは25年にわたってFPGAを用いたD/Aコンバーターの開発を続けてきた。そして、ムーアの法則によるチップの集積化、低コスト化が進んだことで、Mojoのようなコンパクトな製品にFPGAを搭載することも、FPGAによってより複雑かつ膨大な処理を要するDAVEを開発することも可能になったと同氏は語る。