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【特別企画】中林直樹が「SIGNA」「WOOD」を聴く

JVCが世に問う新潮流ヘッドホン『CLASS-S』4モデルの魅力とは? 機種別の音質特徴を徹底解説!

公開日 2016/03/31 10:30 中林直樹
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■「WOOD 01」試聴 − 「濃厚なサウンドに包囲されるような感覚」

「WOOD」は、同社が長年培って来たウッドの振動板技術をバンドタイプヘッドホンに初めて採用したことが最大の特徴である(※イヤホンでは先行してウッドドーム振動板搭載モデルを展開している)。ウッドドームの振動板は2003年にコンパクトスピーカーに世界初搭載。以来、同社のオーディオの基幹デバイスのひとつとして、長年に渡りブラッシュアップされている。それがいよいよイヤホンを経てヘッドホンへ。これだけを見てもCLASS-Sに似つかわしいトピックスだといえる。

上位機種WOOD 01(HA-SW01)は、ウッドドーム振動板を40mmのドライバーユニットに搭載。振動板に使用しているウッドシートの薄さは髪の毛の半分ほどの50ミクロンを実現したという。その周囲には「SIGNA」でも使われているPEN素材を取り付け、それを1テスラ超という高い磁束密度を誇る「ハイエナジー磁気回路」で駆動する。

WOOD 01「HA-SW01」

さらに、ハウジングには数十層の木材をプレスして一体化させた「ウッド・オン・ハウジング」を採用。加えてWOOD 01ではハウジング内部にウッドバッフル、響棒、整振ウッドプラグといったチューニングパーツをマウント。さらに音響用ハンダを使用し、回路の伝送品質も高めた。

アラウンドイヤータイプで、イヤーパッド内の容積も大きく広々とした音場が出現する。原田知世はボーカルの強弱やブレスが表現され、リアリティが高い。とはいっても、分析的なサウンドではなく、音楽全体に丸みや温かみが感じられた。

また、挟間美帆は大編成の楽器たちから紡ぎ出される濃厚なサウンドに包囲されるような感覚を味わえた。このあたりがウッドならではの味わいであろうか。ピアノやベース、ストリングスも淡くなることがなかった。ケーブルは両側出しで着脱でき、「SIGNA」同様「アンチバイブレーションジャック」も搭載。


■「WOOD 02」試聴 − 「低域がかなりしっかりと鳴るにも関わらず、濁ったりすることはない」

WOOD 02は上位機種からウッドバッフル、響棒、整振ウッドプラグ、音響用ハンダを排したスタンダードモデルという位置づけ。

WOOD 02「HA-SW02」

上記3モデル同様、いくつかのハイレゾファイルを再生したが、ベストマッチだったのはデヴィッド・ボウイ。低域がかなりしっかりと鳴るにも関わらず、濁ったり、塊になったりすることはなかった。

しかもボーカルは生々しく、スネアドラムやシンバルもニュアンスも伝わってくる。また、たっぷりと膨らむような音場も魅力的だ。大きな空間でバンドサウンドが繰り広げられているかのようだった。

原田知世は繊細なボーカルと、アコースティックギター、オルガン、ホーンセクションなどが調和した。挟間美帆はWOOD 01よりもすっきりとした印象。ストリングスやトランペットの中高域は伸びがあり、低域には奥行きも感じさせた。坂本龍一はストリングスが重なり合い、力強いうねりを作り出している。



今後のラインアップ拡充も楽しみだ。CLASS-Sという高い志に叶う、次なるモデルはいったいどんなものだろうか。「S」をモチーフにしたシンボルマークが、いついかなる製品に冠されるのだろうか。ローンチ間もないブランドにも関わらず期待は募る。

ちなみに、4モデル共通で付属するボックスやキャリングポーチには、CLASS-Sのシンボルマーク「Sマーク」があしらわれている。本体にも負けない上質さで、この仕上げのよさも満足度を高めるはずだ。こういった細かな部分にも配慮が行き届いた製品であることを最後に付け加えておきたい。

(Phile-web特別企画 協力:JVCケンウッド)

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