シリーズ4機種を山之内 正が徹底試聴
【レビュー】B&W 800 D3シリーズは「スピーカーが消える」境地にどこまで近付いたか?
■トールボーイ型「804 D3」
804 D3は16.5cm口径のエアロフォイルコーン・ウーファー2基が低域を受け持つスリムなトールボーイ型。幅と奥行きは805 D3と共通なので設置面積が変わらず、リビングルームも視野に入るほど設置の自由度は高い。マトリックスを大幅に強化したこともあり、従来比で7kgほど重くなったが、ハンドリングの良さは変わらない。
804 D3の最大の聴きどころは、低音の表現力が広がり、いろいろな低音を鳴らし分ける能力が上がったことだ。ティンパニや大太鼓の瞬発力からオルガンやベースの持続音まで、それぞれの楽器の音色を正確に描写する。さらに、大音圧の低音をブレのない安定した響きで再現するだけでなく、振幅は小さくても重要な役割を果たす通奏低音や、和音を支える根音の音色や長さを正確に再現することにもぜひ注目したい。これまでなんとなく鳴っているように聞こえていた低音が、たとえ小さな音でもクリアに響く。
細かいことのように思うかもしれないが、その低音の音色次第で和音の色合いがガラリと変わったりするので、音楽的な意味はとても大きい。低音だけでなく、中高音の旋律が鮮明に浮かび上がり、ハーモニーの純度が非常に高いことに感心する。まるで再生機器が介在せず、そこで楽器が鳴っているように聴こえるのは、本機の良質な低音が一役買っているのだ。エアロフォイル・ウーファーは、一番弱い音まで振幅と音色をリニアに再現する性能を獲得していることがうかがえる。
■タービンヘッド搭載のスリムなフロア型「803 D3」
さて、ここから紹介する803 D3と802 D3は、「タービンヘッド」と新たに名付けられたミッドレンジ専用キャビネットを有するフロア型スピーカーで、今回の800 D3シリーズのハイライトというべき存在である。
特に803 D3はこのレンジで初めてミッドレンジ専用キャビネットを与えられ、今回のモデルチェンジで1つ上のクラスへの移行を果たした。また、この2モデルはキャビネット前面に継ぎ目のないラウンド形状を採用し、ネットワーク回路を取り付けた肉厚のアルミプレートを背面に配置するなど、全体の構成も大きく変化。ウーファーユニットの取り付け方法は、B&Wの40周年記念限定モデル「Signature Diamond」(関連ニュース)に似ており、回折の影響を受けにくいことは外見から容易に想像がつく。音像のにじみがなく、音が箱に張り付かないSignature Diamondの音をどこまで引き継いでいるのか、興味は尽きない。
803 D3の再生音はスケール感に余裕があり、12畳程度の部屋なら無理して802 D3を選ぶまでもないと思わせるダイナミックな鳴り方をする。2つの18cmウーファーが生む低音は大編成のオーケストラでも不足を感じないレベルの量感を確保しつつ、超低音域の沈み込みと質感の改善に重点を置いた設計をうかがわせ、オルガンの最低音域まで制動の効いた良質な音色を引き出すことができた。
中高域は今回のD3シリーズ共通の美点であるしなやかな音色をそなえ、あたかも信号経路に介在するフィルターが消えたような純度の高い響きと柔らかさが両立している。ダイアモンドトゥイーターを採用した世代以降、800シリーズは高域の硬質感が消えて柔らかい感触に生まれ変わったが、今回はミッドレンジがコンティニウムコーンに変わり、中高域にも変化をもたらした。特に、音量を上げたときに以前気になっていた突っ張り感がなくなり、ホーン楽器やヴォーカルに乗っていた僅かな付帯音まで一掃されたことが大きい。
804 D3は16.5cm口径のエアロフォイルコーン・ウーファー2基が低域を受け持つスリムなトールボーイ型。幅と奥行きは805 D3と共通なので設置面積が変わらず、リビングルームも視野に入るほど設置の自由度は高い。マトリックスを大幅に強化したこともあり、従来比で7kgほど重くなったが、ハンドリングの良さは変わらない。
804 D3の最大の聴きどころは、低音の表現力が広がり、いろいろな低音を鳴らし分ける能力が上がったことだ。ティンパニや大太鼓の瞬発力からオルガンやベースの持続音まで、それぞれの楽器の音色を正確に描写する。さらに、大音圧の低音をブレのない安定した響きで再現するだけでなく、振幅は小さくても重要な役割を果たす通奏低音や、和音を支える根音の音色や長さを正確に再現することにもぜひ注目したい。これまでなんとなく鳴っているように聞こえていた低音が、たとえ小さな音でもクリアに響く。
細かいことのように思うかもしれないが、その低音の音色次第で和音の色合いがガラリと変わったりするので、音楽的な意味はとても大きい。低音だけでなく、中高音の旋律が鮮明に浮かび上がり、ハーモニーの純度が非常に高いことに感心する。まるで再生機器が介在せず、そこで楽器が鳴っているように聴こえるのは、本機の良質な低音が一役買っているのだ。エアロフォイル・ウーファーは、一番弱い音まで振幅と音色をリニアに再現する性能を獲得していることがうかがえる。
■タービンヘッド搭載のスリムなフロア型「803 D3」
さて、ここから紹介する803 D3と802 D3は、「タービンヘッド」と新たに名付けられたミッドレンジ専用キャビネットを有するフロア型スピーカーで、今回の800 D3シリーズのハイライトというべき存在である。
特に803 D3はこのレンジで初めてミッドレンジ専用キャビネットを与えられ、今回のモデルチェンジで1つ上のクラスへの移行を果たした。また、この2モデルはキャビネット前面に継ぎ目のないラウンド形状を採用し、ネットワーク回路を取り付けた肉厚のアルミプレートを背面に配置するなど、全体の構成も大きく変化。ウーファーユニットの取り付け方法は、B&Wの40周年記念限定モデル「Signature Diamond」(関連ニュース)に似ており、回折の影響を受けにくいことは外見から容易に想像がつく。音像のにじみがなく、音が箱に張り付かないSignature Diamondの音をどこまで引き継いでいるのか、興味は尽きない。
803 D3の再生音はスケール感に余裕があり、12畳程度の部屋なら無理して802 D3を選ぶまでもないと思わせるダイナミックな鳴り方をする。2つの18cmウーファーが生む低音は大編成のオーケストラでも不足を感じないレベルの量感を確保しつつ、超低音域の沈み込みと質感の改善に重点を置いた設計をうかがわせ、オルガンの最低音域まで制動の効いた良質な音色を引き出すことができた。
中高域は今回のD3シリーズ共通の美点であるしなやかな音色をそなえ、あたかも信号経路に介在するフィルターが消えたような純度の高い響きと柔らかさが両立している。ダイアモンドトゥイーターを採用した世代以降、800シリーズは高域の硬質感が消えて柔らかい感触に生まれ変わったが、今回はミッドレンジがコンティニウムコーンに変わり、中高域にも変化をもたらした。特に、音量を上げたときに以前気になっていた突っ張り感がなくなり、ホーン楽器やヴォーカルに乗っていた僅かな付帯音まで一掃されたことが大きい。