HOME > レビュー > iPad Pro 9.7インチは“ノートPCの代わり”になるか?【後編】 Smart KeyboardとApple SIMを試す

<山本敦のAV進化論 第90回>

iPad Pro 9.7インチは“ノートPCの代わり”になるか?【後編】 Smart KeyboardとApple SIMを試す

公開日 2016/05/02 17:20 山本 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

アップルが開発した「Apple SIM」は、ユーザーが世界各地で通信事業者やプランを自由に選んで使えるSIMカードだ。アップルストアではSIMカードも販売しているが、新しいiPad Pro 9.7インチには機能としてこれが内蔵されている。iPadと通信料金の支払いに必要なクレジットカードさえ持参すれば、Apple SIMに対応する通信事業者を各国・地域で見つけ、iPad本体からSIMを抜き差しすることなく簡単にデータ通信ができるのが魅力だ。

今回Apple SIMを試してみて、様々な苦労があった。というのも、事前にウェブで紹介されているレポートを参照したところ、Apple SIMでは初めてデータプランを契約する際のデータ通信料が無料という報告を多く見かけたのに、いざ香港に到着して「設定」メニューから「モバイルデータ通信」を選んで新規プランを追加しようとしても、「モバイルデータ通信アカウント」の画面に遷移せず、通信事業者の選択から設定までのステップに進めない。結局ホテルに入ってから無線Wi-Fiにつなぎようやく契約ができた。

結局、香港ではGigSkyの「3日間/100MB」で15米ドル(約1,700円)のプランを選んでみたのだが、メールやWebのチェックがギリギリできるぐらいの容量だし、通信速度は3G対応と不満が残った。

香港にてApple SIMを起動。GigSkyとAlwaysOnline Wirelessの通信サービスが選べた

日本国内ではフロンティアファクトリーが取り扱っているGigSkyのプリペイドSIMを購入すれば、価格は2,980円(税抜)と少し高めに感じられるが、100MB/3日間の無料通信が付いてくる。海外にでかけていきなり使えるようになるし、いくつかの国では4G LTE通信にも対応している。旅に出かける前に日本国内で購入できる安心感も加味すれば、こちらの方がお得感は高い。

日本国内でも発売されているGigSkyのSIMカード。無料で100MBが使えるし、日本国内で設定してから出かけられるので安心して使えるメリットがある

なお中国の深センに移動してからはApple SIMが完全に使えなくなった。アップルのサイトをよく読むと「中国では利用できません」との注意書きがあったので、これは下調べ不足だったと反省した。本稿をご覧の方で、Apple SIMを近々使う予定があるという場合は、アップルのサイトで対応する地域を事前に確認しておくことを勧めたい。

中国のシンセンではApple SIMが使えなかった

「iPad Pro 9.7インチ Wi-Fi+Cellurar」モデルにとって、目下最大のライバルはMacBook Airだと思う。筆者も今回、iPad Pro(32GB/82,800円・税抜)を買って、アクセサリーのSmart Keyboard(16,800円・税抜)、Apple Pencil(11,800円・税抜)を全て揃えて、気が付いたら総額11万円を超える買い物になっていた。MacBook Airの11インチと13インチのどちらでも買えてしまう金額だ。

もっとも、Apple Pencilでしかできないことも沢山ありそうだし、セルラー通信機能を内蔵するiPadらしい機動力もきっとこれから発揮される場面が増えてくると思う。そう自分に言い聞かせながら、しばらくはがんばってiPadをノートPC代わりに活用してみたい。

前へ 1 2 3 4

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE