<山本敦のAV進化論 第90回>
iPad Pro 9.7インチは“ノートPCの代わり”になるか?【後編】 Smart KeyboardとApple SIMを試す
Smart Keyboardを装着すると、ノートPCのようにいくつかのアプリなどでコマンドキーを押しながらキーボードショートカットが使えるようになる。例えばSafariではWeb検索時に「コマンド+F」を押すと画面の下に「オンスクリーンショートカットバー」が表示され、スムーズにページ内キーワード検索ができた。iPadの使い勝手をノートPCへと近づける、強力な機能だ。
ショートカットの割り当ては、アプリごとにコマンドキーを長押しすれば内容がわかる。エディターアプリ系ではEvernoteやWordなどメジャーなアプリ以外では、ショートカットキーが設定されていないも多い。
ただ、筆者が原稿を書く際に活用しているエディターアプリ「iテキスト」では、「コマンド+C」でテキストコピー、「コマンド+V」で貼り付けなど一般的なショートカットであれば普通に対応した。このアプリは行番号の表示や文字カウントもできて、かなり詳細に環境設定も追い込めるのでおすすめだ。
ただ、Safariで調べ物をしながらテキストを書いたり、iPad Proのマルチタスク対応と2画面表示の「Slide Over」「Split View」に完全対応していないので、その点は定番のEvernoteやWordの方が優れているとも言える。
Smart Keyboardの使い勝手は概ね良好だ。当面はテキスト作成を中心に、デジタルカメラで撮影した写真の編集など複雑な作業を除けば、iPad Proだけを携えて取材や執筆へ軽快に出かけられそうだ。不満点があるとすれば、キーボードのダークグレーの色がローズゴールドの本体とミスマッチなので、早くカラーバリエーションを追加して欲しい。
Smart Connector端子については前回のレポートでも触れたが、今後はキーボード以外にもiPad対応アクセサリーの世界がさらに広がる突破口になりそうだ。iPadのデザインを邪魔することがなく、これが端子であることを意識すらさせない形状も強みになるだろう。アップルらしいこだわりを感じる。
■中国と香港でApple SIMも試してきた
最後にSmart Keyboardを離れて、先日の海外出張でApple SIMを試した際の報告を加えておこう。
筆者は先日、中国の深センと香港で開催されたIFAグローバル・カンファレンス(レポート記事1/2/3)、CE Chinaのイベント(レポート記事)を取材するため4日間ほど海外にでかけていた。
今回の出張期間は短い方で、基本的にホテルや展示会場などWi-Fiがある場所間を移動するだけ。街中に観光をしにいく暇もなさそうだからと、ポケットWi-Fiルーターの類は持参しなかった。現地でプリペイドSIMを購入する手もあるが、その前にiPad Pro 9.7インチから本体内蔵になった「Apple SIM」を試したいと思い、今回はあえてSIMカードも用意しなかった。