【特別企画】3種類のオペアンプ別に聴き比べ
オペアンプ交換も楽しめるハイレゾプレーヤー! ベンチャークラフト「VALOQ」レビュー
▼2:OPA1622搭載バージョン
まず「OPA1622」は、エアロスミスの煌びやかなアメリカンロックのサウンドにピタリとはまった。
キレのある中高域をクリーンなだけでなく、より力強いトーンで描く。MUSESのパワー感が一段アップした印象だ。エレキの太い鳴りっぷりがアップビートなロックのサウンドによくマッチすると思う。
マイケル・ジャクソンでは、低域の深い沈み込みや弾力感の点でOPA1622が最も深い味わいを出していた。ダンス系の楽曲と相性がよいはずだ。ホリー・コールではウッドベースの重心が一段と低く、音像がタイトに引き締まっている。上原ひろみのピアノも粒立ちがよく、プリッとした弾力のあるフレッシュな音が魅力だ。パーカッションのリズムも軽やかに駆け抜ける。
MUSESのクールでややあっさりとした印象に比べると、OPA1622はより一体感あふれる情熱的な演奏を聴かせるのが得意なのではないか。アランフェス協奏曲でもギターの彫りが深く、高域も余韻が艶やかに伸びる。オーケストラは低域がどっしりと安定している。OPA1622は3つのオペアンプの中でも一番ダイナミックレンジの幅が広く、コントラストをくっきりと描き分けるパフォーマンスにも長けている。
▼3:OPA627BM搭載バージョン
3つめのオペアンプ「OPA627BM」は、身体の芯まで染みてくるような濃厚なサウンドだ。MUSESのキリッとしたシャープなイメージに対して、OPA627BMはより体温感が高く、粘り気のある中低域のインパクトが強く残った。
原田知世ではブレスなどディティールの彫りが深く、ボーカルとの距離をより近く感じる。ホリー・コールではボーカルの声の密着感にそそられる。上原ひろみのピアノは中低域がずしんと響き、ドラムスやベースとタイトな距離感で音の束をガツンとぶつけてくるようなタイプだ。フォーカスの鮮明度ではOPA1622だが、より分厚くこってりとしたサウンドに耳を浸したいならOPA627BMをおすすめする。
■バランス駆動も試してみる
最後に、オリジナルのMUSES 8820を載せたVALOQで、バランス出力の音も確かめてみた。聴感上のバランスはニュートラルなまま、中低域を中心に音の密度感がより濃く表れてくる。ボーカルの定位感やオーケストラの楽器の音色がより鮮明になり、空間の表現力がスケールアップするような印象も受けた。
VALOQはどんなソースからも忠実に原音の魅力を引き出すパフォーマンスをベースにしながら、オペアンプICの交換だけでなく、5バンドEQやデジタルフィルターまでユーザーが好みのサウンドを細かいところまでカスタマイズできる、非常にオーディオライクなプレーヤーだ。初めてハイレゾDAPを買う方から、オーディオ通を自負されるマニアまで納得させる、遊び甲斐のあるプレーヤーが誕生したことを大いに歓迎したい。
(特別企画 協力:ベンチャークラフト)