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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第157回】ちゃんと説明できますか? 知っておくべき11のポータブルオーディオ最新トレンド

公開日 2016/05/27 10:00 高橋 敦
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▼Bluetooth新コーデック

・タグ|イヤホン ヘッドホン プレーヤー 接続方式 新規格 潮流

●ワード概要
近年に新たに発表されたSony「LDAC」、CSR「aptX HD」(そのCSRはクアルコムに買収された)は、既存のBluetooth伝送コーデックと比較してスペック的に余裕があり、また製品がすでに発売されているLDACについては、スペックだけではなく実際にも音質面での優位が確認されている。

●トレンド解説
Bluetoothは高速通信規格ではないので、44.1kHz/16bitのCDフォーマットの音声データであっても非圧縮では伝送できず、何かしらのコーデックでの非可逆圧縮が必須。そして既存の伝送コーデックは規格仕様にせよ実装仕様にせよ実際の伝送ビットレートは、余裕を見てかさらに控えめに抑えられていた。そのためデータ圧縮率が高くなり、そこでの音質ロスが目立っていた。

対して前述の新コーデックはそれぞれ程度の違いはあるにせよ、従来より高めのビットレートを確保。圧縮手法の最適化も進んだのだろうが、何にせよ総合的な音質向上を実現している。

Sony「h.ear」シリーズのBluetoothモデルは基本LDAC対応。こちらはワイヤレス+ノイキャンヘッドホン「MDR-100ABN」

もちろん送り出し側のプレーヤー等のLDAC対応も充実。最小級&エントリー価格帯プレイヤーであるウォークマン「A20」シリーズもLDAC対応

また両者とも24bitに対応(LDACは96kHzにも対応)。例えば4416と4824を同じビットレートに圧縮した場合、圧縮率の低い前者と圧縮前のスペックの高い後者のどちらが有利なのかなどはまだ検証が必要かと思う。しかしその答えがどちらになったとしても、前述のベース部分での「総合的な音質向上」という優位は変わらない。

現状および今後の見通しだが、まずLDACはソニー製品ではすでに幅広く採用されている。またソニーはその発表時に、自社製品の売りにするだけではなくライセンス展開も想定していると述べていた。それがリップサービスではなく現実的な条件でのライセンス提供が水面下で進んでいるとすれば、そろそろ他社からのLDAC対応製品が出てくるかもしれない。

aptX HDについては、そもそもBluetooth周りのチップ等の大手だったCSRが開発し、さらにはそのCSRがスマートフォン等のチップセット等の大手であるクアルコムに買収された。数年後には「クアルコムのチップセットでスマートフォン作ったら自然と対応」という状況になる可能性もある。

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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