4K/HDRやアニメ、音質まで多角的にチェック
リビングにも置ける“広視野角”4Kテレビ。東芝「レグザZ700X」を5人の評論家がチェック
<4K/HDR&総評>大橋伸太郎氏
Z700Xはヘビーユーザーのための高画質テレビ
Z700XとZ20X。同時比較すると両者の性格差がよく分かる。Z700Xは1000nitsのZ20Xほどのピークの伸びがなく、映像のスケール感で一歩譲るが、逆に映像の緻密さに遜色なく、SDRコンテンツでは一枚の画像のコントラスト上のユニフォーミティとバランスでしばしば勝る印象だ。
以前の記事でも述べたように、4K/HDRソース「エクソダス:神と王」では映像の緻密さと画面に貼り付いたような映像の安定感に目を奪われる。4Kソースの入力検証が進み「4KレグザエンジンHDR PRO」のS/Nが向上したことが分かる。
レグザの系譜でいうとダイナミックなZ20Xはセルレグザを連想させ、S/Nに優れるZ700XはZシリーズの正統という印象だ。細かい映像ポジション選択が出来るのもレグザフラグシップの長所。Z700Xは「4K-BD」「4KマスターBD」「ハイビットBD」「4K放送」「BD」と5種類の高画質ソース用モード(さらに通常の「放送」用モードもある)をデフォルトに持ち、ヘビーユーザーのための高画質テレビといえよう。
<4Kネット動画>折原一也氏
HDRコンテンツを楽しめる間違いのない一台
Z700Xの注目ポイントは、Netflixを始めとしたVODサービスとの対応度の高さ。4Kテレビを購入後にすぐに観られる4K作品として、世界最大ネット動画配信サービスである「Netflix」サービスに標準で対応し、「Netflix」ボタンのみで4K作品を堪能できる、まさに4Kレディ仕様なのだ。
Netflixのオリジナル作品として6月3日より配信の開始した芥川賞受賞作「火花」や日本発のアニメ作品「シドニアの騎士」、米国で制作されている「Marvel デアデビル」を始めとしたNetflixのオリジナル作品群は、8月までに全100時間以上がHDR画質での配信が予告されている。国内外の最新注目ドラマをHDRの最高画質で楽しめる4Kテレビとして、Z700Xは間違いのない一台と言えるだろう。
<アニメ画質>岩井喬氏
現在最もアニメコンテンツに踏み込んだ画作りを実現できている4Kテレビ
上位となるZ20Xとともに、現在最もアニメコンテンツに踏み込んだ画作りを実現できている4Kテレビといえよう。ヌケ良い鮮やかな発色とバランス良い色彩表現は非常に安定しており、明暗のコントラストもIPSとしては最良といえる。
アニメプロの画質設定で『言の葉の庭』を視聴。本作に関しては“アドバンスドHDR復元プロ”を有効とした方が高輝度領域のすっきりした明瞭なヴィジュアルを楽しめるだろう。
チャプター5・天気雨のシーンでは、顔の中だけでピントが合うカットも階調細かく滑らかで、ぼけ味も自然。チャプター8・藤棚のシーンでは背景の藤の葉の鮮やかさを印象付けながらキャラクターとの前後感も明確に描き分ける。キリッとした輪郭と影のコントラストの沈み具合も理想の領域だ。
<4Kアップコンバート>鴻池賢三氏
2Kから4Kへのアップコンバート品質も重視
家庭のリビングでは地デジ放送やブルーレイ映画など、2Kソースがまだまだ主役。画質面で重視したいのは2Kから4Kへのアップコンバート品質だ。
10周年を迎えるレグザは、映像エンジンも着実に進化。Z700Xシリーズではその結晶とも言える「4KレグザエンジンHDR」と「4KレグザエンジンHDR PRO」の2つのエンジンを搭載し、最高峰の画質を約束してくれる。
実際に視聴すると地デジ番組は精細度を高めつつすっきりと透明感のある爽やかな画調が印象的。BD映画は、作品に込められたディテールを丁寧に引き出した重厚感が圧巻だ。そのほか、「インパルス駆動モード」による残像低減機能の充実もトピックで、動画ボヤケの気になりがちなスポーツ観戦にもお勧めできる。
<音質>林正儀氏
映像と音響が一体となった3次元的な広がりのある表現に驚き
Z700Xのもうひとつの魅力が、独自の「レグザパワーオーディオシステム」だ。さらに、HDMIケーブル1本で、別売のサウンドバー“レグザサウンドシステム”と連携できるなど、音質面へにも気を配ったモデルといえる。
従来の4倍の1,792バンドという精密さで制御されたテレビ本体のサウンドも自然でクリアーなものだが、そこにレグザサウンドシステムが合体すると、まさに次元の違う音世界が出現する。
「シカゴ」「美女と野獣」など視聴したが、大型スピーカーから流れるような豊かで力強い音。高音域はより繊細でヌケよく、映像と音響が一体となった3次元的な広がりのある表現に驚かされた。