NC+BTで音楽の聴こえ方は変わった?
【レビュー】ボーズ初のワイヤレスノイズキャンセリング・ヘッドホン「QC35」を、QC25ユーザーの筆者が徹底チェック!
■いよいよ音楽試聴! NC+Bluetoothで音楽の聴こえ方は変わった?
音楽再生時は、QC25の方は中高域の抜けの良さに特長を感じるが、QC35は高域から低域まで音のつながりがとてもよいことに気が付く。中低域の音の密度感が高まり、若干強めに感じられたノイズキャンセリングの違和感がなくなる。音色が鮮やかで、アタックの押し出しが強い快活なサウンドだ。
aikoの「もっと」では声の緻密な輪郭が現れる。エネルギーも前に押されるような感覚が新鮮だ。ドラムスのタムやキックの弾力感がきれいな丸みを帯びている。スネアやシンバルもバシっと切れ味がいい。比べながら聴くと、QC35はより積極的に元気さを前に出してくるような手ごたえだ。
浜田麻里の「Mission」から『Superior』では、ボーカルのハイトーンがとても艶やかだ。QC25のハイトーンは抜けのよさや爽やかさを特徴としていたが、QC35では高域もより密度が濃くなっている。エレキのメロディもよりダイナミックにうねりをあげながら前に押し出してくる。ドラムスのツーバス高速連打も打ち込みが深く、どっしりとした豪快なリズムを刻む。音の輪郭がシャープなので、見晴らしはよくセパレーションも十分に高い。
上原ひろみの「Spark」から『Wonderland』では中低域が一段と安定感を増している。QC35には、より積極的にリスナーを音楽に引きこむようなアグレッシブさがある。
カラヤンの指揮によるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団『ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」』から、「第4楽章:フィナーレ(アレグロ・コン・フォーコ)」では、QC35のサウンドと重厚なシンフォニーとの相性が良かった。打楽器の低音がぐんと沈み込み、トランペットの濃密な高域が艶やかに突き抜ける。弦楽器の音色がしっとりと絡み合って一体感あふれるハーモニーが生まれた。ピアニッシモの微細な音が描き出す表情も逃さず伝えてくれるのがノイズキャンセリング・ヘッドホンの魅力だ。
最後にケーブルをつないでワイヤード時のサウンドも確認してみたが、ワイヤレスの場合とキャラクターは変わらない。本体のバッテリー残量が少なめの時はキャリングケースの中にケーブルも入れておくとよいが、やはり本機はワイヤレスで聴くのが基本だ。
QC35は、ワイヤレス+ノイズキャンセリングという利便性と快適性を突き詰めたモデルでありながら、同時にピュアで力強いサウンドを聴かせるオーディオグレードのヘッドホンだ。
(山本敦)