<山本敦のAV進化論 第98回>
“全録レコーダー”でオリンピックを徹底攻略。パナソニックの最新「全自動ディーガ」を試す
アプリでできることは、放送中番組、ならびに通常録画・全録番組のリモート視聴、および放送予定番組のリモート録画予約だ。現在・未来・過去のテレビ番組をまたいで表示するアプリの番組表は視認性が高く、動きもスムーズなので直感的な視聴・録画予約操作ができる。
キーワード検索はテレビのユーザーインターフェースよりも使いやすいほど。Web検索のようにスムーズな操作で「放送予定/通常録画/全録」の各領域から、目当ての番組を見つけて再生ができた。気になるコンテンツはすぐに見る時間がなければ「あとで見るリスト」に追加しておき、昼休みや帰りの通勤電車で視聴する方法もある。
録画済み番組はアプリからのシーン再生が可能だ。番組リストからシーン一覧を表示して、目当てのシーンだけをピンポイントで見られる。
録画番組を視聴している最中は、いったんメディア・アクセスをバックグラウンドに移動して再生を継続しながらメールやWebをチェックすることもできる。いちいち再生を中断すると、あとでまた番組を立ち上げて再生する手間がかかっていたので、あると嬉しい機能が実現された格好だ。
スマホで見るための機能は便利になっても、実際にWi-Fiに接続できない通勤電車の中などでは、パケット通信量がかさんで気軽に楽しめないものだ。全録対応のディーガでは、昨年発売のBRX6000の世代からメディア・アクセスとの組み合わせで「パケット節約」モードとして、「180p/150kbps」の低画質・低ビットレートで視聴できるモードが選べるようになっている。1GBのパケット容量で約15.5時間、7GBなら約111時間の視聴ができる計算なので、オリンピックの開催期間に活用するなら十分な余力だ。
通信が安定している環境であれば映像の途切れは少なく、肝心の画質も被写体を確認するのにそれなりに役割を果たしている。職場や公共施設のWi-Fiを併用できたらベターだが、バックアップ用の視聴手段としてしっかり活用できるレベルにある。
なおWi-Fi接続時は最高720p/6.0Mbpsの高画質視聴ができるので、タブレットをセカンドディスプレイにして、宅内のキッチンやベッドルームでもテレビを楽しみたい。
■“全自動”の言葉に象徴される使いやすさはホンモノ
パナソニックの新しい“全自動ディーガ”は、全録が手間いらずでセットアップできるだけでなく、録る・見る・残すというレコーダーの基本動作が、そして宅外視聴機能にまで広く“全自動”という言葉に象徴されるユーザーフレンドリーな使いやすさを実現している。今回のテストでそれを強く実感できた。
オリンピックの快適視聴にとどまらず、ドラマやドキュメンタリー、情報番組などを楽しむ際にも「興味があるけれど見つけられなかった」、あるいは「興味がなかったけれど、見たら面白かった」コンテンツとの出会いを、膨大な自動録画のアーカイブからうまく誘発する仕掛けに上手な工夫が凝らされている。それぞれの機能とインターフェースは充実の出来映えだと評価できる。
一方、最大10チャンネルのチューナーを常時起動して内蔵HDDをまわしっぱなしにするレコーダーなので、運転時のノイズは多少発生する。新機種はそこをうまく抑え込んでいるのでほとんど気になることはなかったが、ほかに消費電力が気になるという向きもあるだろう。
全録には非対応ながら6番組同時録画ができるスタンダードモデル「DMR-BRG2020」と年間消費電力を比べてみると、BRX7020が42.3kWh/年、BRG2020が21.5kWh/年と大体2倍ほどになる。毎月の電気料金に大きなダメージを与えるようなものではないと思うが、録画予約等が手間要らずで、よりテレビの楽しさが掘り起こせるレコーダーを手に入れることとのトレードオフを考えながら導入を検討してみてほしい。