[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第163回】イヤホン「ROSIE」「ANDROMEDA」でaikoの『ロージー』『アンドロメダ』を聴いてみた
■「ROSIE」で「ロージー」、「ANDROMEDA」で「アンドロメダ」を聴いてみた
では早速まずは「ROSIE」で「ロージー」、「ANDROMEDA」で「アンドロメダ」を聴いてみよう。そこで両者の雰囲気を掴んだ上で、いつものリファレンス曲で特徴を確認していこうと思う。
▼「ROSIE」で「ロージー」を聴く
このシリーズは、低域調整ダイヤル全開のときにいちばん気持ちよく鳴る印象なのでその状態から試したが、やはりそのセッティングでいきなり気持ちよく聴くことができた。
そのセッティングでも、ベース等の低音が歌を邪魔しない。歌や他のパートを邪魔しない低音だからこそ、全開だって問題ないわけだ。低音全開!というとロックのイメージかもしれないが、こういったミドルテンポのポップスでも、ドラムスやベースの響きが豊かだと曲のゆったり具合がいい感じになったりする。
また全帯域でほぐれやしなやかさが際立つ。アタック感やシャープさが弱いというわけではなく、音を整えに整えた結果、アタック感やシャープさの先の領域に到達したかのような印象だ。きつさや刺さりは出さず、それでいてぼやけや鈍りも感じさせない。このあたりはマルチドライバー構成で各ドライバーの負担を減らして軽やかに動作させつつ、マルチドライバー構成の弱点である位相の不揃いは「FreqPhase」で低減させるという、JHのアプローチの成熟を感じさせる。
で、aikoさんの曲であるから何よりも歌!だが、そこはもちろん見事だ。「刺さらずほぐれているけれどぼやけもない高域」なのだから女性ボーカルとの相性のよさは当然。
▼「ANDROMEDA」で「アンドロメダ」を聴く
「アンドロメダ」はアップテンポというほどではないかもしれないが軽快でリズムも細かい曲なので、ゆったり系の「ロージー」とはその面では対照的。
「ROSIE」で「ロージー」からの「ANDROMEDA」で「アンドロメダ」という試聴の流れだと、そこがさらに強調される印象だ。
キレや抜けといった要素で言うと、ROSIEは「ほぐれていて濃いけれどキレもある」というようにまず「ほぐれていて濃いけれど」という前提を置きたくなる。対してANDROMEDAは、いきなり一言「キレがある」と書いてしまえる。そんな違いがある。設計や構造の基本を同じくする同シリーズ「JUPITER」と比べれば、抜けやキレよりも厚みや濃さに振ったチューニングだ。
しかしそれは、比較対象が抜けやキレに異様なまでの強さを持つJUPITERだからであって、イヤホン全般としてみればこのANDROMEDAもやはり抜けやキレに抜きん出たモデルであることを、ROSIEとの比較で改めて確認できた。
それでいてミドルレンジの厚みや押し出しはやはり充実しており、歌ものであるポップス、というかaikoさんとの相性はJUPITERより上と感じる方も多いだろう。前述のようにリズムが細かく音の数が多いアレンジだが、それらをきっちりぜんぶ描き出しつつ、それらに埋もれさせないような力を歌にも与えてくれている。
そしていまさらりと触れたが、情報量とか解像感とか言われる部分も強い。空間の透明度が高くその上で音像もシャープなので、何億光年向こうの星も肩に付いた小さなホコリもすぐに見つけられそうだ。