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仮想アースとマグネシウム制振の相乗効果

ティグロンの新型アンダーボードと、"幻の導体"採用のケーブルの音質効果をレポート

公開日 2016/08/24 12:49 柴 功
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■“幻の導体”ディップフォーミング無酸素銅によるケーブルも登場
米国GE社が開発した製法で、WE製品の内部配線でも採用

ティグロンはその他にも、独自のマグネシウムシールドを採用したケーブルを展開して人気を博している。今回、画期的な導体を採用したRCAインターコネクトケーブル「MS-DF12R」と、XLRインターコネクトケーブル「MS-DF12X」を新たに登場させた。

TIGLON「MS-DF12R/12X」ともに32,000円(1mペア・税抜)

長い歴史がありながらオーディオ界で着目されなかったディップフォーミング無酸素銅(DF-OFC)を芯線導体に導入し、かつ第三世代マグネシウムシールドを併用したインターコネクトケーブルで、MS-12R/MS-12Xの後継機となる「MS-DF12R」と「MS-DF12X」である。

ディップフォーミング製法は、鉄線の周りに銅を付着させた銅被覆鉄線のように、異種金属同士を合体させた線材を作る製法であり、銅の種線に溶けた銅を付着させたディップフォーミング無酸素銅がDF-OFCである。

具体的には、表面の酸化層を剥ぎ取った銅の種線を千数百度の溶銅炉に通し、種線に銅を付着させて太い鋳造ロッドを作成。これを圧延機に通して荒引き線と種線を同時に作り、新しい種線を溶銅炉に戻して新たな鋳造ロッドを作るという工程を繰り返す。そして酸化を防ぐため、一連の工程は還元雰囲気中で行われる。これにより品質が安定し、不純物の少ない4N無酸素銅が製造できるそうだ。

ディップフォーミングは米国GE社が開発した製法で、ウエスタンエレクトリック製品の内部配線にディップフォーミング銅線が使われている。日本では昭和電線が1969年にGEからディップフォーミングシステムを購入し、無酸素銅グレードC1020の4Nディップフォーミング材を三重県で製造している。

DF-OFCの極細撚り線にマグネシウムシールドを投入

「MS-DF12R」は、アース電極から渦電流や迷走電流を追放したオーストラリアKLEI社のカッパーハーモニーRCAプラグを採用したピンケーブル。線材にはDF-OFCの極細撚り線(0.18mm径の極細銅素線を6本撚り合わせ、それを7束ロープ撚りにした線)に耐熱PVCを被せた2本の芯線の上に、2つの耐熱PVC中間シースを順次介して、横巻き銅シールドとマグネシウムシールド(0.1mm厚で6mm幅のAZ31マグネシウム合金箔の非オーバーラップ巻き)の層を設け、外被にはメタリックグレーの耐熱PVCを用いた外径8.5mmの2芯マグネシウムシールドケーブルを投入。

「MS-DF12X」は、ノイトリックXXシリーズXLRコネクターを用い、線材には前記ケーブルに芯線をもう1本追加した、同じ外径の3芯マグネシウムシールドケーブルが投入されている。価格はどちらも旧モデルより4000円高い32000円だ。

旧モデルから更に高音質に進化。透明感や情報量が激増

試聴結果は、両ケーブルとも旧モデルとは異次元の高音質に進化したのが印象的で、S/N感、奥行き感、透明感が格段に向上して過渡的な情報量が激増。しかも演奏や歌が伸び伸びし、アナログ的で非常にノリが良い。「MS-DF12R」は価格が2.4倍の上級モデルMGL-R10に肉薄するクオリティだ。

「MS-DF12X」はさらに高音質で、上級モデルMGL-X10を凌ぐどころか、私がリファレンスにしているバランスケーブルを、写実性の面でも音楽性の面でも凌いでいる。「MS-DF12X」の唯一の欠点は、サウンドクォリティに対して価格設定が安すぎる点である。「3万2000円のXLRケーブルが、十数万円もする超高級ケーブルを凌ぐ音質だ」と書いても誰も信じないだろう。だが信じる読者は救われる! 耳が肥えた人にお薦めしたい逸品だ。


本記事はオーディオアクセサリー162号からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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