<山本敦のAV進化論 第106回>
ソニーのフラグシップスマホ「Xperia XZ」の進化点を “AVファン目線” でチェック
「レーザーAFがあれば暗い場所でも被写体との間の距離が把握できるので、まずそこにレンズを素速く移動させた後で、細部はコントラストAFで微調整をすることができます。コントラストAF単体でやるよりも処理速度が向上します。
レーザーAFが効果を発揮するのは被写体との距離が1m以内ぐらいの場合です。これよりも遠く離れると、合焦のためにレンズが動く幅は小さくて済むので、フォーカス合わせに大きな影響は及びません。効果が高まる1m前後のマクロレンジにある被写体に素速く、正確にフォーカスを合わせるためにレーザーAFを採用しました」(高野氏)
もう一つ新設された「RGBC-IRセンサー」は主にオートホワイトバランスのアシストを担っている。従来はイメージセンサーでRGB光を検知して光源推定のブロックに入れ、外光か室内の人工光源か、あるいは晴れているのか曇り空なのかといった推定を行っていた。だからものすごく明るい室内で写真を撮ると、光の種類を屋外と勘違いして、被写体の持つ本来の色味との間にズレが生じることもあった。今回、そのギャップを埋めるためにIR(赤外)領域の情報も取得できるセンサーを載せた。
「赤外の光を一緒に使いながら光源推定のアルゴリズムを走らせると推定精度が高められます。例えば夕暮れ時の写真がよりきれいに撮れたり、料理の写真もより美味しそうに映ります」(高野氏)
デジタルカメラの場合はマニュアルでホワイトバランスを調整すれば済むことなのだが、スマホのカメラは素速くきれいな写真が撮れることが大事であると考え、新たな赤外線センサーの搭載を決めたと商品企画の八木氏が説明を加える。
フロントカメラについて付け加えておくと、CMOSイメージセンサーの解像度が13MPで、撮像素子の面積もXperia Z5の約2.6倍に大きくなっている。6枚構成の贅沢なレンズを使い、F値も2.0と高い。信号処理の部分では、ワンショットで複数枚の写真を撮影して、合成しながらノイズを減らすマルチフレームNRの技術がしゃきっとしたシャープなディティールを引き立たせる。
■ハンディカムのノウハウを活かした5軸手ブレ補正機能
静止画だけでなく、動画撮影もクオリティのステージが上がった。ステップアップを支えたのは、ソニーのビデオカメラ“ハンディカム”の開発により培われた手ブレ補正の技術だった。