<山本敦のAV進化論 第106回>
ソニーのフラグシップスマホ「Xperia XZ」の進化点を “AVファン目線” でチェック
スマホを手に構えて撮影する際には、撮影者の体が動くことによって様々な方向へのブレが発生することがある。従来のXperiaシリーズでは、スマホに内蔵するジャイロセンサーによってピッチング(左右を軸とした横回転)、ヨーイング(上下軸の回転)、ローリング(前後軸の回転)を検出して補正をかけていたが、スマホを手に持ってピタリと固定しているつもりが、細かい手ブレが発生しているためにピントがずれたりする「X/Yシフト」に対応することが難しかった。
そこで、Xperia XZではジャイロセンサーだけでなく加速度センサーも使い、5つの要素をいっぺんに測定することで手ブリをより高い精度で補正できるようになった。主には花のクローズアップ写真など、被写体に近づいてマクロ撮影を行った時の手ブレ防止に効いてくるという。
■アナログ回路のチューニングにより音質傾向も変更に
IFAでの発表内容では詳しく触れられていなかったが、新しいXperia XZはオーディオ面も進化を果たしている。最も大きなポイントは、ハイレゾ音源を含む音楽再生のベーシックな性能が向上したことだ。八木氏は本体のアナログ回路の最適化を図ったことでイヤホン再生の音質が良くなっていると説明する。
インタビュー取材の現場に持参したイヤホンでXperia XZと、Xperia X Performanceの音を聴き比べることができた。シリーズの持ち味である解像感の高さに加えて、音のつながりが良くなっている。
X Performanceの音が比べて悪いというわけでなく、全体のサウンドに柔らくて艶やかな質感が加わった印象を受ける。音楽に対する自然な没入感が得られるように思う。八木氏によれば、純粋にチューニングのバランスを変更したことが音質向上につながったのだという。
ほかにも動画撮影時のサウンドを向上させている。その狙いを八木氏がこう語る。
「Xperia X Performanceには搭載されていない4K録画撮影の機能がXperia XZでは復活しました。今回は4K動画撮影時のサウンドもいい音で録れるようにしたいという思いを込めています」(八木氏)
新しいXperiaには耐高音圧マイクが採用された。従来は115dB前後で音割れしてしまっていたが、新しいマイクでは音割れの課題が大幅に改善されて、約125dBまでクリアな音声が録れる。
またハンディカムの技術を応用して、動画撮影時の音声収録についてもノイズリダクション効果を上げている。原音を誤認識して音声の聴きやすさを損なわないよう、ノイズ情報の分離精度を高めている。特にスマホ本体に由来するノイズが乗りにくいようにチューニングしているという。
■片手持ち操作によりフィットする「Loop Surface」デザイン
最後にプロダクトデザインを担当した大谷氏に、Xperia XZのデザインで注目すべきポイントを訊ねた。