<山本敦のAV進化論 第48回>MWCで発表された新モデルの背景
“画と音が良いタブレット”「Xperia Z4 Tablet」開発者インタビュー
ソニーモバイルがMWC 2015の会場にて、10.1型Androidタブレットの新フラグシップ「Xperia Z4 Tablet」を発表した。ソニーブランドで同サイズのタブレットがアップデートされるのは「Xperia Z2 Tablet」以来一年ぶりとなる。詳細については、既にPhile-webのニュースでお伝えした通りだが、今回はソニーモバイルから本機のディスプレイに関わる高画質化、本体の薄型・軽量化、さらにはバッテリー関連の技術開発に関わった担当者へのインタビューをお届けするとともに、“対iPadへの勝算”を考察してみたい。
インタビューに対応いただいたのは、ソニーモバイルコミュニケーションズの斉藤裕一郎氏、ファン・ジェレミー氏、泉 宏志氏の3名だ。
■缶ジュース1本分に迫る超軽量タブレット
まずは本体の薄型・軽量化について斉藤氏に訊ねた。ニュースでもご紹介した通り、新しい「Xperia Z4 Tablet」(以下:Z4 Tablet)は6.1mmの薄型設計とし、前機種のZ2 Tabletで実現した6.4mmという記録を更新した。画面サイズは本機よりも少し小さいが、ライバルとなるであろう「iPad Air 2」に並ぶ薄さだ。
ディスプレイを縁取るベゼルはZ2との比較で30%も峡額化した。写真を比較して見てもらえば差がよくわかると思うが、本体を横画面に構えた際の長手方向のベゼル幅が24mmから17mmに狭くなっている。手に取って眺めてみても、ずいぶんとすっきりとした印象を受けた。
斉藤氏は「特に本体の軽量設計にはこだわった」とコメントに力を込める。Z2 TabletのWi-Fiモデルは426gだったが、Z4 Tabletでは389gへと一段と軽くなった。「iPad Air 2」が発表された当時、筆者は10インチ台のタブレットがこれほど薄くなる意味があるのだろうかと訝しんだが、実機に触れたとたん物欲を刺激された記憶がある。Z4 Tabletの場合も、380g台に突入した軽量化のインパクトは確かに大きなものがあるし、手に取ってみると、これなら普段持ち歩くのに負担が少ないだろうと納得させられてしまう。
これだけ本体を軽量・コンパクトにできたことについて、斉藤氏は「設計、電気、メカ、ディスプレイ、システムの全要素について、開発陣が一丸となって実現した成果です」とチームの健闘を強調する。
Z2 Tabletに比べて、ディスプレイとタッチパネルモジュールを合わせて約20gの軽量化が図られている。他にもバッテリーが約12g、メカニクス等の部分であと約5gを詰めて、トータルで37gの改善を実現した計算だ。
「薄くした分、強度が損なわれているのではないかと心配されることもありますが、Xperiaシリーズは強度も万全です」と斉藤氏が話すとおり、強度面にも磨きをかけた。斉藤氏の説明は以下のように続く。
「2013年発売のXperia Tablet Zは、メインフレームに基板やバッテリー、カメラなどのモジュールを取り付け、表側にガラスタッチパネルモジュールを、背面にもガラスパネルを装着する“3レイヤー構造”でした。バックパネルに0.6mm厚のFRP(繊維強化プラスチック)を使って、強力な粘着材料で固定していましたが、この構造をもっと強化できないかと考えました」。
「そこでZ2 Tabletから、ユニボディ設計の“バスタブタイプ”のフレームに変更して強度アップを図り、Z4 Tabletでも同じメカニクスのメンバーが設計を担当しています。Z2 Tabletの時点で既に、もうやり残しがないほど強化したのですが、今回はよりいっそうの見直しをかけて“約20%”の効率化を実現しています」(斉藤氏)。
Xperia Tablet Zと比べて、Z2 Tabletの本体厚みは6.9mmから6.4mmに薄型化されている。その背景にはユニボディ構造のフレームを採用したことが大きく効いているが、そのマテリアル自体は同じFRPを使っている。ところがZ4 Tabletではさらに成型時に強度を上げ、0.5mmの薄さをキープしたまま硬くつくることで本体の軽量化に結びつけた。
マテリアルに金属ではなくFRPを使う理由については、本体の軽量化にとって重要なファクターになるからだ。メタルフレームのボディを採用する「iPad Air 2」は、Wi-Fiモデルが約437gであることに比べると、マテリアルがもたらす効果が大きいことがみえてくる。一枚板のFRPは手で折り曲げられる柔軟性も持っている。タブレットのボディに成形した後はもちろん折れ曲がることはないのだが、その柔軟性をプラスに働かせることで本体強度を高め、さらにZ2 Tabletから技術的に上を目指してブラッシュアップをかけた製品が今回のZ4 Tabletというわけだ。
■バッテリー容量は変わっていないのに長寿命化を実現
Z4 Tabletは、Z2 Tabletと同容量である6,000mAhのバッテリーを搭載しているのに、バッテリーライフが前機種よりも伸びている点は見逃せない。例えば動画連続再生時間はZ2 Tabletの約13時間から、Z4 Tabletでは4時間伸びて約17時間に到達している。これはバッテリーのセルや基板レイアウトを1から見直し、モジュールの小型化を押し進めることによって駆動時の消費電力を削減したからなのだという。
インタビューに対応いただいたのは、ソニーモバイルコミュニケーションズの斉藤裕一郎氏、ファン・ジェレミー氏、泉 宏志氏の3名だ。
■缶ジュース1本分に迫る超軽量タブレット
まずは本体の薄型・軽量化について斉藤氏に訊ねた。ニュースでもご紹介した通り、新しい「Xperia Z4 Tablet」(以下:Z4 Tablet)は6.1mmの薄型設計とし、前機種のZ2 Tabletで実現した6.4mmという記録を更新した。画面サイズは本機よりも少し小さいが、ライバルとなるであろう「iPad Air 2」に並ぶ薄さだ。
ディスプレイを縁取るベゼルはZ2との比較で30%も峡額化した。写真を比較して見てもらえば差がよくわかると思うが、本体を横画面に構えた際の長手方向のベゼル幅が24mmから17mmに狭くなっている。手に取って眺めてみても、ずいぶんとすっきりとした印象を受けた。
斉藤氏は「特に本体の軽量設計にはこだわった」とコメントに力を込める。Z2 TabletのWi-Fiモデルは426gだったが、Z4 Tabletでは389gへと一段と軽くなった。「iPad Air 2」が発表された当時、筆者は10インチ台のタブレットがこれほど薄くなる意味があるのだろうかと訝しんだが、実機に触れたとたん物欲を刺激された記憶がある。Z4 Tabletの場合も、380g台に突入した軽量化のインパクトは確かに大きなものがあるし、手に取ってみると、これなら普段持ち歩くのに負担が少ないだろうと納得させられてしまう。
これだけ本体を軽量・コンパクトにできたことについて、斉藤氏は「設計、電気、メカ、ディスプレイ、システムの全要素について、開発陣が一丸となって実現した成果です」とチームの健闘を強調する。
Z2 Tabletに比べて、ディスプレイとタッチパネルモジュールを合わせて約20gの軽量化が図られている。他にもバッテリーが約12g、メカニクス等の部分であと約5gを詰めて、トータルで37gの改善を実現した計算だ。
「薄くした分、強度が損なわれているのではないかと心配されることもありますが、Xperiaシリーズは強度も万全です」と斉藤氏が話すとおり、強度面にも磨きをかけた。斉藤氏の説明は以下のように続く。
「2013年発売のXperia Tablet Zは、メインフレームに基板やバッテリー、カメラなどのモジュールを取り付け、表側にガラスタッチパネルモジュールを、背面にもガラスパネルを装着する“3レイヤー構造”でした。バックパネルに0.6mm厚のFRP(繊維強化プラスチック)を使って、強力な粘着材料で固定していましたが、この構造をもっと強化できないかと考えました」。
「そこでZ2 Tabletから、ユニボディ設計の“バスタブタイプ”のフレームに変更して強度アップを図り、Z4 Tabletでも同じメカニクスのメンバーが設計を担当しています。Z2 Tabletの時点で既に、もうやり残しがないほど強化したのですが、今回はよりいっそうの見直しをかけて“約20%”の効率化を実現しています」(斉藤氏)。
Xperia Tablet Zと比べて、Z2 Tabletの本体厚みは6.9mmから6.4mmに薄型化されている。その背景にはユニボディ構造のフレームを採用したことが大きく効いているが、そのマテリアル自体は同じFRPを使っている。ところがZ4 Tabletではさらに成型時に強度を上げ、0.5mmの薄さをキープしたまま硬くつくることで本体の軽量化に結びつけた。
マテリアルに金属ではなくFRPを使う理由については、本体の軽量化にとって重要なファクターになるからだ。メタルフレームのボディを採用する「iPad Air 2」は、Wi-Fiモデルが約437gであることに比べると、マテリアルがもたらす効果が大きいことがみえてくる。一枚板のFRPは手で折り曲げられる柔軟性も持っている。タブレットのボディに成形した後はもちろん折れ曲がることはないのだが、その柔軟性をプラスに働かせることで本体強度を高め、さらにZ2 Tabletから技術的に上を目指してブラッシュアップをかけた製品が今回のZ4 Tabletというわけだ。
■バッテリー容量は変わっていないのに長寿命化を実現
Z4 Tabletは、Z2 Tabletと同容量である6,000mAhのバッテリーを搭載しているのに、バッテリーライフが前機種よりも伸びている点は見逃せない。例えば動画連続再生時間はZ2 Tabletの約13時間から、Z4 Tabletでは4時間伸びて約17時間に到達している。これはバッテリーのセルや基板レイアウトを1から見直し、モジュールの小型化を押し進めることによって駆動時の消費電力を削減したからなのだという。