<山本敦のAV進化論 第48回>MWCで発表された新モデルの背景
“画と音が良いタブレット”「Xperia Z4 Tablet」開発者インタビュー
筆者はZ4 Tabletが今後競争に勝ち残っていくためには、いくつかの戦略的取り組みが重要になると考えている。
まず一つには数多く盛り込まれたプレミアムな機能を、ユーザーの用途から“逆引き”しながら紹介することだ。せっかく高精細な画面を持ちながら、ユーザーが実感としてその凄さが味わえるコンテンツが十分にアピールできていないように思う。例えば動画ならVODプロバイダーのコンテンツも良いのだが、この際「テレビが超高精細に楽しめるタブレット」という切り口から特長を訴えかけてもいいのではないだろうか。
フルセグやワンセグの機能に頼るのではなく、ソニーには見事な出来映えのリモート視聴アプリ「TV SideView」と、使いやすい機能が充実するBDレコーダーのラインナップがある。これらの利便性をより強く主張すべきだと思う。これほどタブレットが高機能・高画質になったのだから、これを媒介にしつつ、ソニーのエレクトロニクス製品によるバリューチェーンを、再構成しながらもう一度強くアピールすべきタイミングが来たのではないだろうか。
「普通のBluetoothよりも、ワイヤレス音楽再生がよりいい音で楽しめるタブレット」であることも、しっかりと前面に打ち出すべきだ。Z4 Tabletはタブレットとして初めて「LDAC」に対応したモデルだ。ヘッドホンをつなげば最大192kHz/24bitのハイレゾ再生が楽しめるほか、専用イヤホンとの組み合わせでデジタルNCも利用ができる。「音質がひと味違うタブレット」なのだ。
そして一方では単独で“画がキレイ、音がイイ”タブレットであることばかりにフォーカスするだけでなく、アプリを軸にホームネットワークのリモコンとして、あるいはハブとしても使いやすいタブレットとしての側面にもスポットがあたって欲しい。
ソニーにはオリジナルの音楽管理アプリ「SongPal」をはじめ、家庭内エンターテインメントのコントローラーアプリを開発してきた実績がある。便利でUIのデザインがよく、使いやすいアプリをソニーが開発して、Xperiaシリーズとの連携性を高めて行くことができれば、必然的にソニーのタブレットやスマホのステータスも高まって行く。アプリ開発への注力は一つの鍵になるように思う。
ソニーがモバイルとエレクトロニクス、そしてエンターテインメントの分野で培ってきた実績と既存の資産をつなぎ合わせれば、ユーザーにとってより刺激的に感じられるタブレットのユースケースが生まれてくる。満を持して登場したXperia Z4 Tabletが、これからのタブレット市場を熱く盛り上げてくれることを期待したい。