ファイル・ウェブ「アナログレコード特集」
入門カートリッジ(3)老舗中の老舗、王道中の王道。オルトフォンのド定番モデルはコレだ!
■オルトフォン「2M Blue」 ¥25,000(税抜)
「2M Red」のひとつ上のグレードである「2M Blue」も聴いてみた。こちら、かなりのオススメ。基本的な音色傾向は「2M Red」と同じで、音質的なクオリティがほんのちょっと向上しているくらいの差なのだが、この“ほんのちょっと”がとてもよく効いてくれて、十分な解像感を持つ、表現力豊かなサウンドに感じられるようになるのだ。例えば女性ヴォーカル。kalafinaなどは、3人の声の特徴の違いがしっかりと描き分けられるようになるため、コーラスの部分がとてもシンフォニックな、いちだんと響きの美しいサウンドに感じられるようになる。
「2M Red」とは異なり、「2M Blue」はシェル一体型PnPのほうもオススメしたい。金属ヘッドシェルを取り付けたタイプに対して、まとまりの良い、ジェントルなサウンドにシフト。バランスの良い、ピュアなサウンドを楽しませてくれるようになる。完成度の高いサウンドだ。
■クオリティチェック(-2〜2) ・音の表現 広がり重視 ○○|○○ 密度重視(±0) ・音の再現 迫力重視 ○●|○○ 音場重視(-1) ・音の質感 クール ○○|○○ ウォーム(±0) ・帯域表現 低域重視 ○○|●○ 高域重視(+1) ・高域表現 煌びやか ○●|○○ 伸びやか(-1) ・低域表現 硬い ○○|●○ 柔らかい(+1) |
■オルトフォン「MC-Q10」 ¥48,000(税抜)[製品詳細]
良質なサウンドとコストパフォーマンスの高さを巧みに両立させた、オルトフォン製MCカートリッジのメインストリーム「MC-Q」シリーズ。そのなかでも、この「MC-Q10」は、ブルーのボディから分かるとおり下から2番目(2Mシリーズ同様エントリーモデルは赤)に位置するモデルで、楕円型の無垢ダイヤモンド針と銀線コイルの採用が特徴となっている。定価48,000円と今回のチョイスのなかでは高額な部類に属するが、採用パーツやサウンドクオリティから、ハイコストパフォーマンスモデルと呼んでいい内容に仕上がっているモデルだ。なお、適正針圧は2.3gとなっている。
実際のサウンドはというと、オルトフォンならではの破綻のないジェントルな表現に加えて、MCカートリッジならではの丁寧できめ細やかな表現を持ち合わせているのが特徴。さらに、弱音に粘りがあって、声が息切れせず続き、なんとも印象的な歌声に感じさせてくれるところが素晴らしい。特にkalafinaなどは、3人の美しい、それでいて芯の強い歌声をとことん楽しませてくれる。いっぽうで、EW&Fなどもリアリティの高い、活き活きとした演奏が聴けるようになるので、とても楽しい。MCカートリッジのアドバンテージや魅力を存分に感じられる、とても優秀なモデルだ。
■クオリティチェック(-2〜2) ・音の表現 広がり重視 ○●|○○ 密度重視(-1) ・音の再現 迫力重視 ○○|○○ 音場重視(±0) ・音の質感 クール ○○|●○ ウォーム(+1) ・帯域表現 低域重視 ○○|●○ 高域重視(+1) ・高域表現 煌びやか ○●|○○ 伸びやか(-1) ・低域表現 硬い ○○|●○ 柔らかい(+1) |