[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第167回】ラジオ好き集まれ!ソニーが送る“現代のラジオ”「SRF-V1BT」の素晴らしさ
ステレオスピーカーでバスレフでデジタルアンプだったりと、しっかりした設計をされていることは確かだ。しかし縦置きスタイルで小型なので、ステレオ感にしても低音にしても「縦置き小型という条件で可能な範囲での最大限」に止まる。
しかしこのモデルはそういうことよりも、ラジオとしてのチューニングがしっかりしていることが際立つ。トークにせよ歌にせよ、声が聴き取りやすく心地よいというのが持ち味なのだ。好きな番組を集中して聴く時にも心地良いし、それでいてラジオを付けっ放しにしておいたり、スマホの音楽ライブラリをシャッフル再生させ続けておいたりといった、BGRやBGM的な聞き方でも邪魔にならない。ラジオというメディア、ハードウェアに実にフィットするサウンドチューニングだ。
そして役立つのが「音質調整」機能だ。「高音」「低音」をそれぞれ±5で調整できるというシンプルなものだが、特に「高音」は実に使いやすい。この「高音」は音楽のシンバルの存在感とかよりも、やはりラジオの人の声の聞こえ方の調整を想定して帯域等を設定してあるのではないかと思う。高音を上げると声の聞こえ方が明るくなり、相対的に中低音がすっきりすることでも声が綺麗に浮き上がってくる。一方、「高音」を下げることで声を含めて全体のトーンを和らげるのもよい具合だ。部屋の空気へのなじみがよくなる。
またこの「高音」の設定は、ソースごとの音の違いへの対応にも利用できる。例えばAMのサーッというノイズや、radikoの圧縮による高域の荒れが気になる場合に「高音」を少し下げてみるといったような使い方だ。実際に使い始めたならば柔軟に活用してみてほしい。
実際にチェックをし終えて、機能的にも音質的にも、このモデルは冒頭に述べた通りの「現在のラジオに求められる理想形のひとつ」だと確認できた。「これからのラジオを提案する可能性のひとつ」である、ニッポン放送・吉田尚記アナを中心としたクラウドファンディングプロジェクト「Hint」と共に、ラジオ好きの皆様におかれましてはぜひ注目していただきたい(関連ニュース)。
もしライバルを挙げるとすれば、機能的にこれに近いものは、Tivoli Audio「Model One BT」だろうか。そちらはそちらで、ルックスや操作性のアナログ感、そしてラジオ的に素晴らしいまったり系の音調で魅力的なモデルだ。まあ、僕は「BT」の付かないモデルを使っているので、BTもワイドFMも楽しめていないのだが…。
ただ価格がSRF-V1BTの倍を超える点や、サイズもやや大柄でもあることもあり、普通にオススメしやすいのはやはり「SRF-V1BT」だろう。まずは一度チェックしてみてほしい。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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