金属の強靭さとガラスの硬度を両立
“リキッドメタル”に筐体を一新!Campfire Audioの第二世代モデル3機種一斉レビュー
リキッドメタルと呼ばれる合金におおよそ共通する特徴は、「比較的に低い温度で溶けるので型に流し込みやすい」こと、「冷却すると非晶質の状態で固体化する」ことの二点である。その「非結晶」を指して「リキッド」と表現するのが名称の由来らしい。
では「非結晶」である利点とはなんだろうか?一般的な金属は、固体の状態ではその原子構造は整然と並んだ結晶になっている。対してリキッドメタルの原子構造は非結晶、原子が不規則に並んでいる状態で、金属なのにガラスのような原子構造だ。
おかげでリキッドメタルは、金属の強靭さとガラスの硬度を併せ持つ。打ち傷や擦り傷が付きにくく、化学的にも安定していて、腐食しにくく薬品耐性も強い。金属アレルギーも起こしにくいという。
Campfire Audioの第一世代製品の「LYRA」はセラミック、他は精密切削のアルミ合金製で、その筐体はブランドの個性として大きな要素であった。今回それを一新するほどに、彼らはこのリキッドメタル合金に確信を持っている。
なお、そのハウジングは以前より小柄になり、エッジの処理も丸みを帯びた。ユーザーの耳の大きさや形との相性の良し悪しも出にくくなっているはずだ。
さらにこの「VEGA」は、ドライバーの振動板に世界初を謳う技術を採用している。それが「ADLC(アモルファス・ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティング」だ。
樹脂素材の振動板の表面に異なる特性の素材を薄膜として定着させ特性を高めるという、それ自体は一般的な手法だが、だからこそコーティングする素材が鍵になる。そこでこの「ダイヤモンドのように非結晶化した炭素素材」がポイントだ。先ほど触れたように、非結晶素材は一般に硬度が高い。振動板において硬度は音の伝搬の速さにほぼ直結する要素だ。この素材はそこに強みがあり、それこそダイヤモンドに近いレベルだということだろう。
他にもポイントとして、MMCX端子の強度へのこだわりやケースの豪華さなどは第一世代から継承している。
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