金属の強靭さとガラスの硬度を両立
“リキッドメタル”に筐体を一新!Campfire Audioの第二世代モデル3機種一斉レビュー
■LYRA II
本機は名前の通り「LYRA」の後継モデル。実売で8万5000円程度。
初代LYRAはハウジングにセラミック素材を採用していたことも大きな特徴だったが、LYRA IIでは他の第二世代モデルと同じく「リキッドメタル合金」に変更。一方で、LYRAのもう一つの大きな特徴の「ベリリウムコーティング振動板」はしっかり継承している。
さて、みなさんお気付きだろうがこのモデルと「VEGA」は、ハウジングの素材やおおよその形、ダイナミック型ドライバー搭載と重なる要素が多い。実はドライバー口径も8.5mmで全く同じだったりする。
だが、以下で説明するように音は別物である。もちろん振動板のコーティング素材の違いだけでも音は違って当然だ。しかしその上で全体のチューニングも、それぞれの個性を生かす方向に意図して割り振ったと想像させられる。
先ほどVEGAの紹介をするにあたり、素材の「硬度」を強調したことから、サウンドについて冒頭で「シャープネスが持ち味なのかなと想像した方もいらっしゃるかもしれない。しかし実際に聴いた印象は逆だ」と書いた。ならばLYRA IIについてはこう切り出そう。
「シャープネスが持ち味なのかなと想像した方もいらっしゃるかもしれない。その通りだ」
ダイナミック型ドライバー搭載イヤホンの中には、独特で良質なシャープネスを発揮するものがいくつかある。このモデルもその一例だ。ハイハットシンバルは薄刃で透明感のあるシャープさ。ボーカルの子音も気持ちよくシュッとしている。音像のシャープさだけではなくその背景もクリアで、全体の印象もすっきり系だ。
低域の沈み込み具合や厚みは、VEGAの方が上かもしれない。だがLYRA IIでは、ベースのゴリっとした感触での迫力を持っており、また別の魅力を備える。ロックのベースでもヒップホップのベースでも、音色や帯域によらずベースの存在感が安定しているというのも強みだ。
VEGAとは価格帯が大きく異なるが、音の方向性も明確に異なっている。自身の好みに合わせて選ぶべき両モデルだ。
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