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【特別企画】注目ブランドを聴く

待望の日本再上陸!「JAYS」のイヤホン/ヘッドホン徹底検証。タイムレスなサウンド&デザイン

公開日 2016/12/15 10:00 土方久明
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スウェーデンのオーディオメーカー「JAYS」。創業は2006年とまだ若いメーカーながら、優れた音質とデザインの製品で好評を博していたものの、近年は日本市場から遠ざかっていた。しかし2016年秋、新モデルをひっさげ約6年ぶりに国内再上陸を果たした。

スウェーデンと言えば、日本でも人気の家具メーカー「IKEA」やファッションブランドの「H&M」など、その物づくりにおける技術力とデザイン力は世界的に高く評価されている(今話題のストリーミングサービス「Spotify」も同国の企業だ)。JAYSももちろんその流れを汲み、ストックホルムにある古い醸造所を改築して作られたという本拠地にて、自社チーム内で製品開発を行っている。

2006年に創業したJAYSがヘッドクォーターを置くスウェーデン、ストックホルム。古い醸造所を改築したオフィス(写真右)で製品開発を行っている

今回ブランドの再上陸に伴い発売を開始したモデルはイヤホン3機種とヘッドホン1機種だ。

・イヤホン q-JAYS Reference Earphones(for Audio Only) ¥32,490(税込)
・イヤホン a-JAYS Four+(for iOS) ¥7,490(税込)
・イヤホン a-JAYS One ¥4,490(税込)
・ヘッドホン u-JAYS(for iOS) ¥14,490(税込)

同社が大切にしているのはまず素晴らしい音楽体験をクリエイトすること。そしていたずらに流行を追わず、時代を超えて愛される製品をつくること。社内のデザイナーとエンジニアは密にコミュニケーションを取り、最高の製品を作るため、3Dプリンターでモックアップを作りながら何度も議論を重ねるという。またサウンドチューニングも、計測データだけでなく聴感テストも重ねて最終決定するとのこと。そうしてできあがった製品は洗練されたシンプルなフォルム。飽きが来ず何年も愛用できそうだと感じる。

JAYSのCEO Rune Torbjörnsen氏

技術責任者 Peter Cedmer氏

デザインチーフ Daniel Andersson氏

グラフィックデザイナー Oscar Lindell氏

プロダクトデザイナー Mårten Sahlén氏

本稿では特に販売のメインとなるであろう2つのイヤホン、最上位モデルの「q-JAYS」と、最もお手頃な「a-JAYS」を中心にレビューを行いたい。

オーディオ製品の評論をしていると、世界各国のヘッドホン・スピーカーを聴く機会があるが、北欧メーカーのオーディオ製品には、時々「おっ!」と感心させられるメーカーやモデルが出てくることがあるので今回も取材を楽しみにしていた。試聴はAstell&KernのDAP「AK380」と組み合わせて、クラシック、ジャズ、J-Pop、アニソンなど複数ジャンルかつMP3〜ハイレゾまで用意した。


q-JAYS Reference Earphones

「q-JAYS Reference Earphones」は、2年にも及ぶ開発期間を経て製品化された同社のフラグシップイヤホン。マットブラックのハウジングはステンレス製。金属射出成形によりベースを作成後、CNC加工を施し、さらに研磨され制作されるという手間のかかる製法で造られている。内部にはBAドライバーを低域用に1基、中高域用に1基搭載する。周波数帯域は5Hz〜20kHz、インピーダンスは50Ω。カラーはブラックのみの展開だ。

q-JAYS Reference Earphones

まずは実物と対面。製品が入っている外箱(パッケージ)からして、デザインが優れておりしっかりしている。細部まで真面目なメーカーなのであろうと感じた。

パッケージも非常につくりが良い。描かれた図のとおりにケーブル等をつないでいく

そして驚くのは非常にハウジングが小型で軽いこと。小指の先ほどの大きさで、本当にこのなかに2つもドライバーが入っているの? と思わず疑ってしまうくらいだ。小さくて軽いので、装着感が良く着けているのを忘れてしまうほど。これこそJAYSが狙ったポイントかもしれないが、この部分は特筆しておきたい。

驚きなのは本体の小ささ(コーヒー豆くらいのサイズ!)しかも非常に軽量だ

しかもこの小さなハウジングに、低域を調整するためのベント構造が設けられているほか、55個のハニカム型ホールを備える着脱可能なアルミ製フィルターを搭載するなど、多くの技術が詰めこまれていることも興味深い。ケーブルは着脱式で、ハウジング側の端子部はカスタムメイドのネジ式コネクター(SSMCX)を採用している。

q-JAYSの構造図


この小さなハウジングに、55個のハニカム型ホールを備えるフィルターなどが詰めこまれている

SSMCXによるリケーブルにも対応。ケーブルはコネクタ部に一本線が入っている方が右側。接続する際は注意したい
気になるサウンドだが、トーンバランスはフラット傾向で、高域の抜けが良い。BA型のメリットである解像度の高さや透明感のある音色で、オーディオ的な表現力が高い。低域はモニター的な締まった表現で原音に対してアキュレイト(正確)、かつ適度な弾力感を両立している。女性Jazzボーカル「キャンディス・スプリングス - 『Soul Eyes』」を聞くと、一歩間違うと鈍重になってしまうベースが気持ち良く鳴り、ボーカルも近すぎず遠すぎず、暖かい彼女の声をリアルに再現できていることに感心した。

サウンドステージが広く展開することも特徴で、「アンドレア・バッティストーニ - 『イタリア・オペラ管弦楽・合唱名曲集』」では、楽器やボーカルの位置関係も分かりやすい。全帯域でスピード感を有しているので、今回は聞かなかったが、打ち込み系音源とも相性が良さそうだ。

イヤホンチップは、デフォルトで付属するシリコンチップの他に、コンプライ社のフォームチップも同梱されているのが嬉しいところだ。せっかくなのでコンプライに付け替えてみたのだが、バスドラムなどの低音が立体的になり、中域の密度感も向上、各帯域がよりしっかりとした音調に変化した。

コンプライ製のイヤチップも同梱。付け替えるとまた少し違う音を楽しめる

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