【特別企画】注目ブランドを聴く
待望の日本再上陸!「JAYS」のイヤホン/ヘッドホン徹底検証。タイムレスなサウンド&デザイン
a-JAYS One
「a-JAYS One」はφ8.6mmダイナミックドライバーを搭載した同社エントリーモデルである。価格は4,490円(税込)ながら上位機種のエッセンスが投入された、コストパフォーマンスに優れる一台だ。再生周波数帯域は20Hz〜18kHz、インピーダンスは16Ωとなっている。ケーブルは絡みづらいフラットタイプを採用している。スウェーデン本国ではリモコン搭載モデルもラインアップされているが、国内販売はリモコンレスモデルのみである。カラーはこちらもブラックのみの展開だ。
そのサウンドは低域に力感を感じるトーンバランスだ。絶対的な情報量や上下のレンジこそ上位モデルに及ばないものの、音のまとまりとバランスの良さがあり、スピード感ある音色など「q-JAYS」の長所もしっかりと受け継いでいる。
MP3音源「fripSide - 『infinite synthesis 3』」を聞くと、打ち込みのバスドラムの迫力がありキレも良い。南條愛乃のボーカルは定位がしっかりとしている。一つのドライバーで全ての再生周波数帯域をカバーしているメリットは各帯域のスピード感の統一につながり、サウンドプロデュースする八木沼 悟の独特の世界観がノリよく伝わってくる。
ハイレゾ音源の「西沢幸奏 - 『帰還』」を聞くと、彼女の良さと言われている儚げのあるボーカルを豊かに表現する。この価格帯のイヤホンは、聴感上の迫力をあげようとドンシャリになってしまう場合も多いが、本機は限られたコストの中で本格的な音を目指しているのが分かる。
小型で装着感が良いにもかかわらず高い音質を狙ったq-JAYSは意欲あふれるモデルであった。またa-JAYS Oneは優れた音質の割に価格が安く、JAYSの世界観を知る最初の一台としてもおすすめできる。
そして本稿では紹介できなかったが、日本製シルクダイヤフラムを採用したヘッドホン「u-JAYS」や、イヤホン「a-JAYS Four+」も素晴らしい出来だった。u-JAYSはスピード感ある音調。高域は少々ブリリアントで、無理にブーストしたようなチープさがない弾力感ある低音が印象的。またバックミュージックとボーカルのバランス良さも特徴と言えるので、アコースティック系からロック/ポップスまで幅広く対応できる。
「a-JAYS Four+」は同社イヤホンラインナップで中間に位置するモデルだが、しっかりとした個性を持っていて、躍動感を感じる元気な低音が特徴、ジャズやロックにも相性が良さそうだ。
同社は、むやみやたらにモデルチェンジをせず、長く使ってもらえる製品づくりをフィロソフィーとして掲げており、オーディオメーカーとして真摯な姿勢が伝わってくる。今後はワイヤレスモデルにも力を入れていく考えとのこと。日本再参入からまだ日も浅いが、展開が大いに楽しみだ。
(企画協力:ブレイベル インコーポレーテッド)