第3世代「XDシリーズ」
アバンギャルドのDSP/サブウーファー搭載スピーカー「UNO XD」の進化度を検証する
■ハイレゾソースでの音質
鮮度感が高くアキュレートな音と、シルキーで流麗な音色が魅力
試聴テストはエソテリックの試聴室で行った。基本的に同社のセパレートアンプ「C-02X」「S-02」で駆動。まずはネットワークプレーヤー「N-05」によるハイレゾの音から聴いていった。
192kHz/24bitのWAV音源、チャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトでは、S/Nの良い背景を前提として、鮮度感が高くアキュラシーの高い音を聴かせてくれる。1stヴァイオリンの弦の質感や、木管の響きが天井方向にきれいに飛んでいく感覚など、実に見事だ。ソロヴァイオリンの音色はシルキーという言葉を使いたいような流麗さがあるとともに、左手の指が弦から離れる時の微小な音まできちんと聴こえてくる。基本的に音の立ち上がりとしゃがみが実に素早く、付帯音のない再現性なのだ。
大友良英と高田 漣の作品『BOW』はDSD 2.8M㎐の音源だが、録音現場にあった空気感と音像の実体感のバランスが適切だ。アコースティックギターや声といった音楽的な成分だけでなく、電子音や紙をこする音もうるさくなく音楽的に聴かせてくれる。
■CD、SACDでの音質
音全体に深みがあり、膨大な情報量を再現。音量を上げると生き生きしてくる
プレーヤーを「P-02X」「D-02X」に変更して、エリック・クラプトンの『アンプラグド』のCDを聴いてみると、声のリアルさが凄い。音全体にコクや深みがありつつ、膨大な情報量を感じる。
SACDのアバド/ベルリンフィル『ジルヴェスター・コンサート1997』でも、まるで等身大のステージが出現してしまったようだ。歌劇『カルメン』抜粋での、ソロ歌手の歌の表現力のディテールの細やかさと、合唱隊のダイナミクスや音像としてのまとまりの良さも印象的だ。ボリュームを上げれば上げるほど、音楽が生き生きとしてきて実に愉しかった。
第3世代のXDシリーズになって、スフェリカルホーンの良さをさらに引き出すべく、その他の要素を熟成してきた印象だ。UNO XDでは、トゥイーターとミッドレンジのドライバーユニットの進化が印象的で、シルキーと表現したいようなソロヴァイオリンの音が耳に残っている。
ムーヴィングマスの軽さから来る圧倒的なトランジェントや、スピーカーからの音離れの良さもさらに磨きがかかっていた。同時に、先代のモデルの4倍のアンプ出力に強化されたサブウーファー部にも高いポテンシャルを感じた。
DSPによりきわめて細かく音をいじれるので、ネットワークプレーヤーやディスクプレーヤーごとに音をセッティング。80メモリーできる中に残していく、といった使い方も楽しい。もちろんモノとしての魅力も高い。ホーンの色やエンクロージャーの仕上げの選択肢がかなり多く、その全体の姿形も所有欲を満たしてくれるだろう。
(鈴木 裕)
本記事はNetAudio 23号からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。