第3世代「XDシリーズ」
アバンギャルドのDSP/サブウーファー搭載スピーカー「UNO XD」の進化度を検証する
スフェリカルホーンの利点を明確化、パワーアンプにも優しい設計
ホーンスピーカーは高能率である。ホーンが音量を増幅してくれるということもあるし、空気が逃げないので小さい面積の振動板で低音を発生することが可能だ。このため、ボイスコイルや振動板を小型化でき、ホーンではないスピーカーと比較するとムーヴィングマスを20分の1程度の質量に落とせる。
慣性質量を軽くできるメリットはとても大きい。一般的なスピーカーと比較して、ダイナミックレンジは8倍、歪み率は10分の1、解像度は10倍、という研究成果がドイツのアーヘン工科大学によって実証されている。
また、特に大きな優位性として、独自のスフェリカルホーンではその再生できる周波数の下限をホーンの直径で決められるため、パッシブネットワークを必要としないという点だ。さすがにトゥイーター用のドライバーにはユニットを壊さないためのコンデンサーをひとつだけ入れているが、パワーアンプとほぼ直結された状態で、パワーアンプに優しい設計である。さらにボイスコイルをハイインピーダンスに設計すると、メリットはさらに大きくなる。
ユニット振動板の素材を刷新し、ハイインピーダンス化を実現
トゥイーターのホーンドライバーは最上位モデルと全く同じものを採用し、振動板がより軽量なものになった。ミッドレンジホーンドライバーのインピーダンスは上位モデルと同じ18Ωに揃えられた。
これは4Ωのスピーカーと比較して、アンプのダンピングファクターを4.5倍に上げるのと同じ効果があり、長いスピーカーケーブルを使った時の影響を80%低減できるという。また、振動板の素材も刷新され、ソフトメッシュ繊維という格子構造の繊維を開発し採用。ただしミクロレベルで見ると繊維には隙間があり、そこを伸縮性がある特殊樹脂でコーティングしている。
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