[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第180回】恒例の“超ド級”個人的ランキング「ポタ研2017冬」編。1位は期待を超えてきたアレ!
ところで、qdcの「1LE」もそうだが、ある閾値(しきいち)を超えたレベルにまで筐体が小型化されると、「誰の耳に対しても余裕で小さいので、耳の大きさや形と筐体との相性は誰に対してもほぼ一律になり、フィッティングの大半はイヤーピース次第になる」というところもポイントだ。
そこが「カスタムではなくユニバーサル」なイヤホンならではの強みをさらに強くしてくれる。装着感や付け外しのしやすさを重視しつつも、サウンドも妥協はしたくない。そんなニーズに応えてくれるイヤホンの選択肢が増えているのは嬉しい。
なおfinal製品では、以前から人気のイヤーピース、F7200に付属のハイクオリティケーブルの単品販売、耳掛け装着の快適性を高めるシリコンイヤーフックなど、アクセサリーも好評とのことだ。というかむしろアクセサリーの方が売れ行き順調でちょっと複雑な気分とのことだ…
しかし実際に同社のアクセサリーは、単にクオリティが高いというだけではなく、使い勝手への配慮やそれを実現するアイディアに優れたものがたくさんある。中の人には申し訳ないがそちらもやはり注目してみてほしい。
【雑談】ドイツ系はフィッティングを念入りに
さてここで、これまた毎度恒例、TOP3発表前の雑談タイム!
……いや、この連載おおよそ雑談ばかりで構成されているけれど…
今回同じ部屋のすぐ近くに、待望のbeyerdynamic自身からリリースする、テスラ技術搭載イヤホン「XELENTO REMOTE」と、Ultrasoneのコストパフォーマンスモデル「Signature STUDIO」が展示されていた。
どちらも素晴らしいモデルなのだが、実はこういったイベントや店頭試聴においてはかなり不利な点を抱えている。それは、「フィッティング次第で音変わりすぎ」問題だ。
その理由はおそらく、独特な形のシリコンイヤーピースとその人の耳との相性の良し悪しだ。その合う合わないで実際のサウンドクオリティが大きく揺れ動くことは、このシリーズの弱みであることは否めない。
そこで「XELENTO REMOTE」では、付属のシリコンイヤーピースのサイズ展開を拡大!XS/S/M/L/XL/XXL/3XLの7サイズを付属するきめ細かさとした。
ベイヤーとしても、このモデルはイヤーピースのフィッティングに繊細で、それによって音が変わりやすいことを認識しているのだろう。
なのでユーザーとしても、試聴の機会には念入りにイヤーピースのサイズを選んでみてほしい。あるいはコンプライのソフトフォームも付属するので、試聴時はフィッティングが寛容なコンプライで試聴し、購入後にどちらのタイプどのサイズのイヤーピースがベストか詰めていくのもよいだろう。
ところでベイヤーさん。このイヤーピースの単品販売もしてくれたらT8iEユーザーの一部が大喜びかもですよ……?
次にUltrasone「Signature STUDIO」。というか「Signature STUDIO」に限らず、同社のヘッドホンは装着位置の具合によってサウンドが大幅に変わる。というかもう「ベストな装着位置を見つけないことには『なにこれ』レベルのサウンドしか出ない」と言っても過言ではない。低域はスカスカに抜けてしまうし、定位感も不明瞭になる。しかしベストポジションで発揮されるサウンドは「これが……貴様の真の力だというのか!?」という見事さ。
そうなる理由として大きいのはおそらく、同社が誇るナチュラルサラウンドサウンド・テクノロジー「S-Logic」だ。この技術は、以下のような流れでヘッドホン的でない自然な響きや定位感を得るという。
◆ドライバーを鼓膜の軸からオフセットした位置に組み込み、
◆ドライバーから発した音を、直接そのまま内耳に入れず、
◆外耳で反射させてから内耳に入れていく
だからこそ、その絶妙な「オフセット」具合が装着のポジショニングでズレてしまうと全く効果を発揮しないどころか逆効果になってしまう。
なので試聴の際、まずさっと装着して聴いてみてその音がしっくりこないときには、装着のポジショニングを前後上下色々動かしてみてほしい。するとある一点でフォーカスが合うかと思う。そのときに聴こえてくるのが同社ヘッドホンの真の実力だ!
ところでUltrasoneさん、SUGIZOさんコラボモデルぜひお願いします…