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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第181回】高級ヘッドホンで聴く上坂すみれは“ココ”がすごい!注目コラボモデル予約締切直前企画

公開日 2017/03/03 10:00 高橋 敦
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▼3rd「パララックス・ビュー」(2014年3月5日)

「パララックス・ビュー」は地獄と天国をテーマに、初回限定版(左)と通常盤(右)のジャケ写が繋がって一つの絵になっています

□曲の復習!

作詞は大槻ケンヂさん、作曲はNARASAKIさんという特撮(バンド名です)コンビによる曲。アニメファンには「絶望少女達と同じコンビ」の方が通りが良いかもしれない。かなりアップテンポな上にシューゲイザー的なアプローチのディストーションギターで空間を埋め、さらに各所にキメが入ってかっこいい。そのおかげで逆にリズムは取りにくく、観客がトゥインクルゲバスティックを振りにくかったり振り疲れたりするのはもちろん、上坂さんご本人もイヤモニなしのリリイベなどでは苦労すると語っていたような記憶がある。

□音楽的なポイントは?

サウンドとしては前述のように速くて激しい。さらに言えば「メタル」よりも「コア」寄りのそれという印象だ。そのサウンドのためか、体験し実感したことのある同士諸君も多いかと思うが、いわゆるカラオケの場合とバンドでの演奏の場合でその迫力に特に大きな差が生まれる。カラオケではしょぼくなりがちだが、とてもバンド映えする一曲だ。

普通の付属品的なイヤホンと高級ヘッドホンでの印象の違いもそれに近いものがある。ざっくりと、しかし強く断言させてもらえば「説得力が違う!」のだ。具体的にはこういった速い曲は、中低域をぐいっとしっかり再生してくれるヘッドホンではないと、ベースとドラムスのリズムが悪い意味でスカっぽくなってしまう。そこな!

□コラパケ高級ヘッドホンで聴いてみた!

ギターの短いフェードインからドラムスとベースが入ってきた瞬間、もう説得されてしまった。このヘッドホンは基本、各楽器の音を大柄に太く描き出してくるのだが、その個性とこの曲は特に相性が良い。

特にドラムス!おおよそずっと「ズタ!ズタ!ズタ!ズタ!」と縦ノリのハイスパートを叩き続けているのだが、だからこその揺るぎない力強さというものがある。体を揺らすグルーヴではなく、前に前に!のドライブ。そのシンプルな有り様はシンプルだからこそ、地力の弱いヘッドホンでは再現できない。このヘッドホンはそこを余裕でというか「あ、僕こういうの得意なんで」的な感じでするっとクリアしてくれやがる。

▼4th「来たれ!暁の同志」(2014年7月16日)

「来たれ!暁の同志」初回限定盤(左)と通常盤(右)

□曲の復習!

頭っから炸裂するジュリアナ感。上坂さんご本人は全くそういう世代ではないのだが、上坂さんが世代感という概念のない異質な存在であることを同志諸君は深く理解していることだろう。このいわゆる「スーパーユーロビート」サウンドも上坂さんが何故か前から好んで聴いていたものらしく、それを制作チームが汲んで形にしたのがこの曲というわけだ。ライブではそのスーパーユーロビートな決めフレーズに合わせて「生産!」「団結!」「反抑圧!」を叫ぶのがお約束であり、問答無用の盛り上がりを見せる。なお、作詞は「残酷な天使のテーゼ」でおなじみ、及川眠子さん。

□音楽的なポイントは?

ユーロビートというと大味というか、勢いドカーン!なサウンドを想像する方も多いかと思う。実際そこも大切なのだが、この曲の場合はそれもありつつ声優さんの歌を聴かせるポップスとして、しっかり計算されたアレンジやミックスになっていることもポイントだ。

派手な音色のシンセリフ、キメフレーズが印象的だが、それらは音量やリバーブの調整でボーカルよりもリスナーから遠めの距離感に配置。その立体的なズラしによって、強い音色の派手なフレーズでも上坂さんの歌を邪魔しない。ドン・ドン・ドン・ドンと鳴り続ける四つ打ちのバスドラムも低重心で歌の下に潜り込んでおり、やはり歌を邪魔しない。

その工夫を再現できないヘッドホンでは派手な楽器たちが上坂さんの歌を邪魔してしまいがち。逆にそこを再現できるヘッドホンは、楽器の派手さと上坂さんの歌をちゃんと分離させてくれて、どちらも満喫させてくれるのだ。

□コラパケ高級ヘッドホンで聴いてみた!

前述のポイントをするっとクリア。このヘッドホンは音の大柄さが持ち味なので押し引きの“押し”の部分が強いのは想定通りだが、シンセなどを歌の後ろに引かせる表現も十分にこなしてくれた。イントロやキメの場面ではシンセリフの迫力がガンガン来るし、歌パートになれば上坂さんの歌の方を綺麗に届けてくれる。

あと他に印象的なのはベースやバスドラムのモチッと感。ゴツゴツさせずにしなやかさやしっとりさを出しながら押し出すというか、圧は強いが当たりは強すぎないといったような肉感的な重みがある。このヘッドホンは耳にかぶさるイヤーパッドの感触もとても良いのだが、そことも通じる部分かも。これは……良いな。

次ページシングル後半戦!5thのメタル色炸裂な「動」的サウンド表現にぴったり

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