HOME > レビュー > ビクター復活の狼煙 ー「WiZMUSIC」徹底解剖! プレミアムなヘッドホンサービスの魅力に迫る

【特別企画】ユーザーごとに音場をカスタマイズする注目サービス

ビクター復活の狼煙 ー「WiZMUSIC」徹底解剖! プレミアムなヘッドホンサービスの魅力に迫る

公開日 2017/07/10 11:11 岩井 喬
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
JVCケンウッドが復活させたビクターブランドで展開する音場特性カスタムサービス「WiZMUSIC」。測定を行うことで個人ごとにカスタマイズした自然な頭外定位でヘッドホンを楽しめるという同サービスの魅力に、評論家の岩井喬氏が迫った。


■スピーカー再生のような広い音場をヘッドホンで味わえる注目技術『EXOFIELD』

音楽を楽しむ手段として、アウトドア・インドア問わずヘッドホンを使うというリスナーが増えているが、スピーカー再生とは違う頭内定位に違和感があり、長時間ヘッドホンをつけて音楽を聴くことができないという方も少なくない。

筆者自身はスタジオ時代(※編集部注:岩井氏はレコーディングスタジオ勤務などを経て現職)を含め、ヘッドホンならではの頭内定位が当たり前ととらえて長年接しているため、スピーカー再生との違いについては“そういうもの”という認識であり、無意識のうちに相互の聴こえ方を切り替えている。そのため、違和感を持つということはない。

音楽スタジオ勤務経験を持つ評論家の岩井喬氏がWiZMUSICを実際に体験取材した

しかしながら、スピーカー再生のような奥行きと広がりを持つ自然な空間がヘッドホンでも楽しめるのであれば申し分ないとも感じているのは事実であり、これまでも立体音場再生を目指したヘッドホンやそれに付随する技術を使った製品も体験してきたが、謳われているような立体感を得られず、半ばあきらめかけてもいた。

個人ごとに耳型を取って自分だけに最適化されたイヤホン、カスタムIEMの世界がマニアの間では広がっているが、ヘッドホンにおいて同義のこだわりを駆使しようとするには、目指すサウンドコンセプトに対し、耳介形状やドライバーユニットからの距離の設定など、音響構造そのものから各々作り込まなくてはならない。ゆえにヘッドホンでは個人にカスタマイズされたプロダクトを打ち出しにくいのが現状だ。

だからこそ頭部伝達関数HRTFを活用し、実際の耳でオープンエア環境のスピーカー再生音を聴いているかのような音場を仮想で作り出すヴァーチャルサラウンド系のヘッドホン技術が色々と登場しているわけであるが、HRTFの設定に幅を持たせなければ不特定多数のリスナーに向けたサービスが成り立たないため、効果のある・なしの差が激しいという問題も起こりうる。

いうなれば筆者はそのHRTF的スィートスポットから外れてしまい、ヴァーチャルサラウンド系ヘッドホンでは理想の立体音場感を得られなかったのだ。

しかし、そうした状況を一変させる技術発表が本年3月、JVCケンウッドからもたらされた。それが個人ごとの伝達特性を記録できる超小型マイクと計測システムセットとなる独自の頭外定位音場処理技術『EXOFIELD(エクソフィールド)』である。

音場定位イメージ。EXOFIELDはヘッドホン再生でもスピーカーで聴いているような頭外定位を従来よりも高いレベルで実現できる

左右の耳孔に専用の超小型マイクをセットし、ヘッドホンのみならず、理想的なスピーカー再生用システム、そしてリスニングルームそのものの音響特性を測定・解析。測定にはパルス波を用い、スピーカー再生環境とヘッドホン再生環境それぞれで計測を行う。この二つの環境の測定結果を基に、音楽再生時はヘッドホン装着時の測定特性から頭内定位を生み出す成分をキャンセルし、スピーカー再生時の測定特性をヘッドホン内で再現するという技術となる。

EXOFIELDでの信号処理イメージ

■ビクターブランド復活の狼煙『WiZMUSIC』

そしてこのEXOFIELDを用いた、オーダーメードサービスとして『WiZMUSIC(ウィズミュージック)』がこの秋からスタートする予定だ。WiZMUSICの語源はWizardとWith、Musicを掛け合わせ、どこでも最高の音楽を持ち運べる魔法という意味が込められている。

次ページ名曲の数々が生まれた“ビクタースタジオ”で個人データを測定

1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック:

音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー196号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.196
オーディオアクセサリー大全2025~2026
特別増刊
オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX

本ページからアフィリエイトプログラムによる収益を得ることがあります

NEWS
AV&ホームシアター
オーディオ
モバイル/PC
デジカメ
ホビー&カルチャー
過去のニュース
RANKING
イヤホン・ヘッドホン
AV機器売れ筋
さらに見る
AWARD
VGP
DGPイメージングアワード
DGPモバイルアワード
オーディオ銘機賞
オーディオアクセサリー銘機賞
アナロググランプリ
REVIEW
レビュー
コラム
注目製品クローズアップ
優秀録音ハイレゾ音源レビュー
さらに見る
連載
折原一也の“いまシュン!”ビジュアルプロダクト
高橋 敦のオーディオ絶対領域
山本 敦のAV進化論
角田郁雄のオーディオSUPREME
今週の発売新製品
アニソンオーディオポータル
さらに見る
INTERVIEW
インタビュー記事一覧
さらに見る
BRAND
注目ブランド情報
MAGAZINE
オーディオアクセサリー
analog
ホームシアターファイル
プレミアムヘッドホンガイド
プレミアムヘッドホンガイドマガジン
雑誌定期購読
雑誌読み放題サービス
メルマガ登録
SHOPPING
PHILE WEB.SHOP
通販モール