【特別企画】“STRATOSPHERE”連続レビュー
大橋伸太郎がサエク「XR-1」を導入した理由 ー ケーブルの存在が消え、広大な音空間が現出
サエクのフラグシップ・オーディオケーブル“STRATOSPHERE”を、複数のオーディオ評論家が連続レポート。第2回目は、自宅試聴室に「SP-10」「XR-1」を実際に導入した大橋伸太郎氏が、今回は特にXR-1についてその魅力を分析した。
■STRATOSPHERE「SP-10」の衝撃
STRATOSPHEREのスピーカーケーブル「SP-10」を初めて聴いたのは、今年の5月のことだ。それまでも筆者は7.1chスピーカーシステムとサラウンドアンプの間を、PC-Triple C導体を採用したサエクの「SP-850/650」で接続し、日々BD-ROMの音質確認を行ってきた。ちなみに筆者の場合、CD等のステレオソースを聴く場合、スピーカーシステム共通のまま別系統のアンプで聴き、その都度少々面倒だが「人力」でスピーカーシステムをモノラル・パワーアンプにつなぎ替えている。
サラウンドですっかり耳に馴染んだPC-Triple Cの素直で鮮度の高い音。連続移送鍛造伸延技術が生んだPC-Triple Cの何が音響導体として優れるかについては、何度も語られてきたのでここでは踏み込まないが、ステレオ再生専用に用いるもう1組のスピーカーケーブルに用いるべく、この素材を使ったさらに上のクラスのスピーカーケーブルを心密かに待望していた。
果たして、STRATOSPHEREシリーズのスピーカーケーブルとして登場した「SP-10」の音質は期待に違わぬものだった。筆者の場合、ケーブルで積極的に音を作っていくという考え方に反対だ。無色透明で音楽情報を脚色せずありのままに伝達することが伝送経路本来の役割のはずだ。何も足さない、引かないというサエクの製品作りはその点で理に適っていて、だから同社製品を使い続けてきた。しかし、SP-10は単なる無色透明に止まってはいなかった。その先の世界がそこにあった。それは音空間の広大さだ。
サエクがSPC-850やSL−5000で採用したストラタム構造は、径の異なる導体で中心部と周辺部をそれぞれ構成するが、SP-10のスーパーストラタム構造はそれをベースに外周部の導体にもそれぞれ絶縁を一本ずつ施す。
もっと詳しく解説すると、構造図で一目瞭然だが、中心部に同芯撚りのPC-Triple C導体(2.0sq)を、外周部にPFAフッ素樹脂で絶縁した0.5φの導体をリッツ線構造として、中心導体と同心に11本配する構造とした。周到な絶縁と分離効果で干渉を排し、広帯域と静寂を実現し広大な音場感を実現したのだ。
■ノイズフロアが尋常でなく低い、ラインケーブル「SL-1/XL-1」
SP-10の購入をすぐに決めたのだが、この時もう一つのケーブルのプリプロ(量産見本)が一緒に手元に送られていた。STRATOSPHEREのインターコネクトケーブル「SL-1」だ。
早速SACDプレーヤー、ネットワークプレーヤー→プリアンプ間に接続して聴いた時の衝撃はSP-10のそれに勝るものだった。音響空間が広大なだけでない。そこに描き込まれる音の数が豊かで、一つ一つがきめ細かくその影がくっきり濃い。その背景に異様なまでの静寂がある。つまりノイズフロアが尋常でなく低い。塵の一粒が落ちた気配さえわかるのが本当のハイエンドオーディオ、といったりするが、SL-1がまさにそれだ。
中心導体にPC-Triple C単線を使うスーパーストラタム構造である点はSP-10と同じだが、SL-1は外周導体に、5Nの純銀導体でPC-Triple Cを覆うPC-Triple C/EX導体を初めて採用した。表皮効果の影響を受けやすい高周波帯の伝送効率をさらに改善し、音場表現の鍵となる微細信号情報の伝達力が躍進したのだ。
この当時、オーディオ評論家間の会話では「SL-1聴いた?」とその音質の良さで持ち切りだった。一度聴いてしまうと戻れなくなる魔力があった。SP-10はすぐに購入したが、しかしSL-1は高価だ。同じコストを投じるなら、バランス伝送に対応したXLRタイプを待ちたい。そうして遅れること約一カ月、もう一つのインターコネクトケーブル「XR-1」が登場した。
XR-1の導体構造はSL-1と同じだ。制振材入りポリオレフィン製シース内側のPC-Triple C編組をグラウンドラインに使用し、3番ピンに接続。コネクター部には同社オリジナルのXLR端子を採用する。筆者が躊躇なく購入したことはいうまでもない。
■STRATOSPHERE「SP-10」の衝撃
STRATOSPHEREのスピーカーケーブル「SP-10」を初めて聴いたのは、今年の5月のことだ。それまでも筆者は7.1chスピーカーシステムとサラウンドアンプの間を、PC-Triple C導体を採用したサエクの「SP-850/650」で接続し、日々BD-ROMの音質確認を行ってきた。ちなみに筆者の場合、CD等のステレオソースを聴く場合、スピーカーシステム共通のまま別系統のアンプで聴き、その都度少々面倒だが「人力」でスピーカーシステムをモノラル・パワーアンプにつなぎ替えている。
サラウンドですっかり耳に馴染んだPC-Triple Cの素直で鮮度の高い音。連続移送鍛造伸延技術が生んだPC-Triple Cの何が音響導体として優れるかについては、何度も語られてきたのでここでは踏み込まないが、ステレオ再生専用に用いるもう1組のスピーカーケーブルに用いるべく、この素材を使ったさらに上のクラスのスピーカーケーブルを心密かに待望していた。
果たして、STRATOSPHEREシリーズのスピーカーケーブルとして登場した「SP-10」の音質は期待に違わぬものだった。筆者の場合、ケーブルで積極的に音を作っていくという考え方に反対だ。無色透明で音楽情報を脚色せずありのままに伝達することが伝送経路本来の役割のはずだ。何も足さない、引かないというサエクの製品作りはその点で理に適っていて、だから同社製品を使い続けてきた。しかし、SP-10は単なる無色透明に止まってはいなかった。その先の世界がそこにあった。それは音空間の広大さだ。
サエクがSPC-850やSL−5000で採用したストラタム構造は、径の異なる導体で中心部と周辺部をそれぞれ構成するが、SP-10のスーパーストラタム構造はそれをベースに外周部の導体にもそれぞれ絶縁を一本ずつ施す。
もっと詳しく解説すると、構造図で一目瞭然だが、中心部に同芯撚りのPC-Triple C導体(2.0sq)を、外周部にPFAフッ素樹脂で絶縁した0.5φの導体をリッツ線構造として、中心導体と同心に11本配する構造とした。周到な絶縁と分離効果で干渉を排し、広帯域と静寂を実現し広大な音場感を実現したのだ。
■ノイズフロアが尋常でなく低い、ラインケーブル「SL-1/XL-1」
SP-10の購入をすぐに決めたのだが、この時もう一つのケーブルのプリプロ(量産見本)が一緒に手元に送られていた。STRATOSPHEREのインターコネクトケーブル「SL-1」だ。
早速SACDプレーヤー、ネットワークプレーヤー→プリアンプ間に接続して聴いた時の衝撃はSP-10のそれに勝るものだった。音響空間が広大なだけでない。そこに描き込まれる音の数が豊かで、一つ一つがきめ細かくその影がくっきり濃い。その背景に異様なまでの静寂がある。つまりノイズフロアが尋常でなく低い。塵の一粒が落ちた気配さえわかるのが本当のハイエンドオーディオ、といったりするが、SL-1がまさにそれだ。
中心導体にPC-Triple C単線を使うスーパーストラタム構造である点はSP-10と同じだが、SL-1は外周導体に、5Nの純銀導体でPC-Triple Cを覆うPC-Triple C/EX導体を初めて採用した。表皮効果の影響を受けやすい高周波帯の伝送効率をさらに改善し、音場表現の鍵となる微細信号情報の伝達力が躍進したのだ。
この当時、オーディオ評論家間の会話では「SL-1聴いた?」とその音質の良さで持ち切りだった。一度聴いてしまうと戻れなくなる魔力があった。SP-10はすぐに購入したが、しかしSL-1は高価だ。同じコストを投じるなら、バランス伝送に対応したXLRタイプを待ちたい。そうして遅れること約一カ月、もう一つのインターコネクトケーブル「XR-1」が登場した。
XR-1の導体構造はSL-1と同じだ。制振材入りポリオレフィン製シース内側のPC-Triple C編組をグラウンドラインに使用し、3番ピンに接続。コネクター部には同社オリジナルのXLR端子を採用する。筆者が躊躇なく購入したことはいうまでもない。