「ブラックラベル」へと進化した注目のサウンドは?
iFI-Audio「nano iDSD BL」速攻レビュー。最新トレンドを凝縮したモンスターマシン
■MQAに対応した最も手頃な価格帯のDAC
完成度が高くなったと感じるのは、前後両側のプレートの面積を小さくしてボディからの出っ張りをなくし、スムースな形状にしている点で、これはiFIの新しいデザインコンセプトでもある。脚は柔らかい樹脂の4点のものを最初から装備。また、ボリュームのノブは奥行きを短くしつつ直径を大きくすることによって操作性も向上。総じて使い勝手が改善されつつ、デザイン性も大幅に向上したと感じる。
特筆しておきたいのは、入力に対してMQAに対応してきたことだ。より高次なサンプリング周波数やbit深度のデジタルデータを44.1kHz/16bitといったCD相当のフォーマットに織り畳んで伝送する技術で、TIDAL Mastersでの採用をはじめ世界的に大きな注目を集めているフォーマットだ。
ハイレゾデータ自体を軽くしたり、あるいはストリーミングの伝送レートを低くできる画期的な技術だが、nano iDSD BLは現存するMQA対応のハイファイオーディオ機器としてはもっとも手頃な価格で対応している。このあたり、iFIの技術力の高さや先進性に舌を巻く部分だ。ライバル機となるとコードの「Mojo」あたりで、カラーもサイズも似通った部分が多いが、MQAへの対応はnano iDSD BLの大きな魅力となるだろう。
■初代機と比較しても倍以上の価値がある音
まずは筆者のレファレンスであるシュア「SE535 Special Edition」でテストしたが、S/N感が良く、透明な音場空間の中にしっとりと音像が定位。その実在感が実に高い。初代のnano iDSDと比較しても、値段が倍でも足りないくらいの成熟した音だ。音像は良い意味で大きめで音楽に近く、音色の陰影感や自然な音像の輪郭など、値段からは想像がつかない再現に驚かされる。
デジタルフィルターは2種類の切り換えで、“MEASURE"の方がアキュレート。“LISTEN"が高域の存在感をやや低くした音楽的な音になっている。主観的に言うとほっとできる音で、どれだけ背景が静かなのだろう。アコースティックギターの甘い音色感はなかなか聴けるもんじゃない。ライン出力をアンプにつないでスピーカーも鳴らしたが、音像の形が端正で、S/N感も悪くない。
nano iDSD BLはコンパクトなボディに最新のトレンドを凝縮したモンスターマシンだ。ボディのデザインも、Q-Balanced回路も、これからのiFIを垣間見せてくれるリーダー的な存在である。
(鈴木 裕)
関連リンク
- ジャンルヘッドホン(単体)
- ブランドiFi audio
- 型番nano iDSD BL
- 発売日2017-11-03
- 価格27000
【ラインアンプ部】●ダイナミックレンジ(ライン):>109dB●THD+N(0dBFS、ライン):<0.004%●出力電圧(ライン):>2.15V●出力インピーダンス(Zout):<240Ω●チャンネルセパレーション:>99dB(@1kHz)【ヘッドフォンアンプ部】●ダイナミックレンジ(ヘッドフォンアンプ、DAC):>109dB(A)@3V(Normal out)、>107dB(A)@0.5V(High Sensitivity Out)with iEMatch●THD+N(@125mW/30R):<0.005%●最大出力(<10% THD):>3.5V@600Ω(Normal Out) 20mW、>2.05V@300Ω(Normal Out) 285mW、>1.7V@15Ω(Nomal Out) 200mW●出力インピーダンス(Zout):<=1Ω(Normal Sensitivity Output)、<=4Ω(High Sensitivity iEMatch Out)●チャンネルセパレーション:>79dB@600Ω Load(Normal Out、1kHz)、>79dB@15Ω Load(Normal Out、1kHz)【総合】●最大対応サンプルレート:DSD12.3MHz、PCM384kHz●MQA:対応●サイズ:96L×64W×25.5Hmm●質量:139g●取り扱い:ENZO j-Fi LLC.、泣gップウイング