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他方式にはないDLPならではの高解像度

オプトマから待望の4K DLPプロジェクターがついに登場!「UHD65」視聴レビュー

公開日 2017/11/21 10:00 大橋伸太郎
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コア(エイリアンの宇宙船)を包む霧の描写が、他のどのディスプレイ方式に比べても繊細できめ濃やかで美しい反面、宙空に浮かぶコアや対峙する米軍の兵器にシャープで生々しい実在感が生まれていた。近景の俳優とコアとの遠近描写はまるで3D映像を見ているかのようだ。人類が初めて未知の知性に直面したリアリスティックな緊迫感がここにある。このフォーカス感と遠近感はDLP方式ならではの精細感によって初めて生まれたものだ。

さらにDLP方式のシャープな解像感は、主演女優エイミー・アダムスの表情に肉薄し、寓意的な人間ドラマとしての映画の側面、未来を知ることの悲哀を画面に焼き付ける。一方、有機ELテレビや、よく出来たLCOSに比べUHD65の映像は黒がもう一つ沈まないのが残念。しかし、この映画の「コミュニケーションの夜明け」の描写にかえって寄り添い、映画館の画質を好む方には好感されるだろう。

■豊富な画質調整機能で映像を追い込める「打てば響くプロジェクター」

次に見た『ブレードランナー 完全版』(4K UHD BD)では、UHD65の特徴である、濃やかな光の濃淡や煌めきの美しさが発揮された。デッカードの革ジャケットが未来都会の光を浴びて輝く繊細な描写や、タイレルタワーのイルミネーションが明滅する緻密で濃やかな描写はDLPの解像感あってのものといえよう。

このソフトの特徴に、フィルムのグレインノイズが4Kコンバージョンと圧縮によって暴れがちで、シーンによって映像が見づらいことが挙げられる。現行の4K有機ELテレビで有効なノイズリダクションの手だてがないことを日頃悩ましく思っていたのだが、UHD65の「ウルトラディテイル」をオフにすると、粒状ノイズの暴れが落ち着き、見やすくなることは嬉しい驚きだ。

前述した「ダイナミックブラック」の上にあるのが「ウルトラディテイル」

続いて、ブレードランナーの5年前に公開された名作『未知との遭遇』を再生する。さすがにアナログVFXは4K解像度のもとでは古さを隠せず、綻びも目立つのだが、クライマックスのマザーシップ出現の光のページェントはピークの明るさは申し分なく、HDR10準拠と最大輝度2,200ルーメンの余裕を実感した。夜闇と光のコントラストも自然に溶合い、色彩も豊富でDLPらしい広色域を感じさせる。こうしたDLPらしい優れた特徴もカラーブレイクがあると台無しになるわけだが本機は前述した通り、輝度差の激しい映像でもカラーブレイクがほとんど発生しない。安心してSFの描く非日常に浸ることができる。

画質調整を行う大橋氏。「UHD65」はオプトマらしく豊富な画質調整機能を備えており、画質を追い込むことができる

UHD65に限らずオプトマのプロジェクターに共通するのが、画質調整機能の可変幅と効果が大きく、調整次第で映像がみるみる変貌する「打てば響くプロジェクター」ということだ。このあたりのユーザーへの開放度の広さは、国産プロジェクターの考え方とまったく異なる。

したがって、「あれ、自分のイメージと違うな」と思ったら積極的にピュア・エンジンを調整することだ。シネマを選択した場合も、ピュア・モーションはデフォルトでオン設定で補間フレームが挿入されるので、オフにすると24コマらしい被写体の動きになる。映画『ラ・ラ・ランド』冒頭のシーンはシネマ デフォルトでやや色乗りが薄いが、同様にピュア・カラーを3に上げると、ハリウッドが舞台のスクリーンミュージカルの華やかさと虚栄の市の哀歓が生まれる。



待望の4K DLPプロジェクターは筆者の想像を上回る映像で登場した。DLPでなければ描き出せない鋭利で肌理の細かい映像フィールがここにある。同時に、DLPの難点だったカラーブレイクをほぼ消し去るという想定外の嬉しい誤算を携えて…。全プロジェクターファン必見の新製品だ。

(大橋伸太郎)

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