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DAC/プリとパワーアンプ

PS Audioの新時代を切り拓く、DAC/プリ「Gain Cell DAC」とパワーアンプ「S300」をレビュー

公開日 2017/12/08 11:30 角田郁雄
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次にアンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮・hr交響楽団によるストラヴィンスキーの「春の祭典」「火の鳥」を再生した。弦楽には、繊細さや柔らかさを感じさせ、膨らみのある響きを感じる。ヴァイオリンパートの速い旋律でも、音がシャープになり過ぎず、厚みがある。ティンパニーの連打には、このサイズとは思えないダイナミックな音圧を感じる。金管楽器では、眩いほどの輝きや重厚さを要所要所で聴かせてくれる。これは期待通り、Gain CellとAnalog Cellの大きな効果である。

GAIN CELL DACとS300に、スピーカーはTAD「TAD-ME1」を組み合わせて試聴を行った

TAD‐ME1からは、音圧感たっぷりの押し出しのよい中低域が聴け、さらには俊敏な立ち上がりと高いS/Nも両立する。これらの長所にはICEpowerが貢献しているはずだ。

高解像度かつスケールの大きな空間再現。クラスを超えたサウンド

ハイレゾ再生では、コープランドの管弦楽作品集Vol.1から、庶民のためのファンファーレ(96MHz/24bit FLAC)を再生した。スケールの大きな空間と高解像度な音像が特徴であり、壮大な金管楽器や強力なグランカッサのフォルテシモの連打でもパワー全開。TAD-ME1は胸に響くような高い音圧で鳴り、音がブレイクアウトしない。しかも倍音成分が豊富で、音が高密度だ。低音もボトムエンドまで伸びている印象を受ける。1100/8Ωという驚くべきダンピングファクターも頷ける。


続いて、私のリファレンス音源の1つでもあるノルウェイ 2Lレーベルの『Quiet Winter Night』(5.6MHzDSD)を再生した。教会の広い空間が眼前に再現され、女性ヴォーカルが、ややしっとりとした声質を示しながら、解像度高く描写された。バスドラムも豊かに鳴り響き、ピアノの響きには透明度の高さを感じる。トランペットやギターの響きも美しく、ベースにも木質感が溢れている。デリケートな弱音までを引き出している点などには、ESSのDACチップの特性をよく使いこなしていると感じた。

これだけの技術と音質を実現し、いずれも手の届きやすい価格帯で実現していることには、感心せざるをえない。この両モデルはTAD-ME1以外にも、モニターオーディオ「Silver300/500」、B&W「702S2/705S2」、ダイアトーン「DS-4NB70」など今話題のスピーカーたちも十分ドライブできるであろう。

いずれもブラックモデルを用意している

さらには、そのデザインは洗練されたスタイリッシュなシステムを組むことも可能にする。余裕ができたら、同社のCD/SACDハイレゾ再生に対応するDirect Stream Memory Playerを導入し、さらなるシステムのアップグレードも可能になる。

「Gain Cell DAC」「S300/M700」は、まさに、価格を超えた、今注目のモデルと言えるであろう。ぜひ、実際にショップでその音を聴いて確認してみてほしい。

(角田郁雄)

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