TRANSROTORのの新たなアプローチを満載
アナログプレーヤー「DARK STAR」を山之内正が解説 − 技術的アプローチとこだわりを同時に実現
■素材の重要性を熟知しているからこその設計
DARK STARはプラッターだけでなく台座、フットにもPOMを採用している。POMはポリアセタール樹脂の略で、「デルリン」とういデュポンの商標でも知られている。強度や内部損失の大きさだけでなく、熱や摩擦への耐性の高さなど、アクリルやアルミに劣らぬ優れた物性を有するエンジニアリング・プラスチックの代表格だ。
精度の高い加工が可能で、ターンテーブルとして不可欠の優れた制振性能を発揮することが、同社がPOMに注目した最大の理由と思われるが、ユニークなのは基幹パーツに全て同種の素材を採用したことである。固有周波数での共振を起こしにくい、つまり鳴きにくい素材であるという特徴を最大限活かすために、あえてシステム全体を同じ素材で作り上げる方法を選んだのだろう。素材の重要性を熟知しているメーカーならではの大胆な発想であり、その成果が注目される。
本体は3点支持でアームベースとモーターユニットはどちらも台座の重量を支える役割は持たない。アームベースはSMEのショートアームに照準を合わせた仕様で、今回はSMEのM2-9を搭載した「DARK STAR M2」にて試聴を行った。カートリッジはマイソニックのSignature Goldを組み合わせている。