チューニング担当者に話も聞いた
Unique Melody「MAVERICK IIカスタム」を聴く ー 大幅進化した第2世代ハイブリッド型IEM
■兄弟モデル「MAVERICK+」が目標のハードルを上げた
ちなみにMAVERICK IIのユニバーサルモデルの原型となるサンプルは、すでに2016年の時点で一度は完成していたという。この時点で最終の候補となったのは2つのサンプルモデルで、それぞれ異なるダイナミックドライバーを搭載していてた。いずれもその完成度は満足いくもので、どちらを後継にするか甲乙つけがたいものだった。しかし、一方は搭載するダイナミックドライバーの継続的な供給が難しいことがわかったため、限定モデルのユニバーサルタイプ「MAVERICK+」として発売することになった。
このMAVERICK+のサウンドが想像を超えて好評だった。宮永氏の中でも、この時点での試作機で言えば、MAVERICK+の方が優位と感じていたようだ。結果、一度は完成したMAVERICK IIを、改めて作り直すことになった。再度の開発の間に前述のANDROMEDAのようなモデルも登場し、宮永氏の求めるサウンドのハードルはさらに上がっていったという。この一連の出来事が、MAVERICK IIのサウンドをさらに高めたことは想像に難くない。
■中高域の進化に加えて、低域の情報量に改めて驚かされる
最後にもう一度、宮永氏のコメントも踏まえつつMAVERICK IIのサウンドを確かめておこう。今度はMacbookAirとCHORDのポータブルDAC/ヘッドホンアンプ「Hugo 2」を組み合わせた。再生ソフトにはRoonを用いた。
Punch Brothers『Phosphoruscent Blues』(96kHz/24bit)の2曲目「Julep」では、冒頭のウッドベース・ソロを濃密に鳴らす。弦の軋みがリアルで、ウッドベースのボディが振動する様子が伝わってくる。また、MAVERICK II特有の立体的な空間再現が、Hugo 2の駆動力と空間再現性とあいまって非常に高いレベルで引き出される。ギターやバンジョーの響きは煌びやかで、音抜けの改善の効果が改めて確認できる。
Blur「Girls & Boys」(48kHz/24bit)は四つ打ちのギターロックだが、情報量の多い中高域を心地良く解きほぐしてくれる。ディストーションギターやハイハットが楽曲の主導的な役割を担うなかで、ボーカルが埋もれない。ベースと四つ打ちのキックは安定感とクイックネスを兼ね備えている。
キリンジ「エイリアンズ」(96kHz/24bit)では、アコースティクギターの低音弦をピッキングしたときに鳴る低い帯域の音が、BAドライバーだけで構成されたイヤホンでは出せないであろう実在感を備えている。高域から低域までのシームレスなつながりも確認できる。ボーカルの艶や味わいを引き出してくれるのもMAVERICK IIの魅力で、この点にフォーカスして旧機種と聴き比べると差が大きかった。
Childish Gambino「Redbone」(96kHz/24bit)は現代的なR&Bで、低音メインのトラックに浮遊感のあるボーカルが乗る。MAVERICK IIで聴くと低域のレイヤーがはっきり見え、かなり低い音域まで音階や音色が捉えられている。低域に情報量が多いトラックに歌が乗り、かつアンビエントなSEが組み合わされるこの手の楽曲において、MAVERICK IIは強みを発揮してくれる。
MAVERICK IIを聴くとクリアで抜けの良い中高域にまず目が行く。そして解像感のさらなる向上にも目を見張るものがある。しかし、少しだけじっくり聴くと、低域の階調と実在感が増して、音楽の芯になる表現力がさらに高まっていることがわかる。だからこそ、MAVERICK IIでは音楽がよりダイナミックに聴こえるのだろう。
◇
評価の高かったモデルを次世代に刷新することは、当然難しい作業だったはずで、実際の開発エピソードを聞くと、やはり難産だったというMAVERICK II。だがそのサウンドは大幅な飛躍を遂げており、プロセスを知るとさらに納得できる。MAVERICK IIのサウンドは、ハイブリッド型イヤホンの新しい基準になるものといえるだろう。
ちなみにMAVERICK IIのユニバーサルモデルの原型となるサンプルは、すでに2016年の時点で一度は完成していたという。この時点で最終の候補となったのは2つのサンプルモデルで、それぞれ異なるダイナミックドライバーを搭載していてた。いずれもその完成度は満足いくもので、どちらを後継にするか甲乙つけがたいものだった。しかし、一方は搭載するダイナミックドライバーの継続的な供給が難しいことがわかったため、限定モデルのユニバーサルタイプ「MAVERICK+」として発売することになった。
このMAVERICK+のサウンドが想像を超えて好評だった。宮永氏の中でも、この時点での試作機で言えば、MAVERICK+の方が優位と感じていたようだ。結果、一度は完成したMAVERICK IIを、改めて作り直すことになった。再度の開発の間に前述のANDROMEDAのようなモデルも登場し、宮永氏の求めるサウンドのハードルはさらに上がっていったという。この一連の出来事が、MAVERICK IIのサウンドをさらに高めたことは想像に難くない。
■中高域の進化に加えて、低域の情報量に改めて驚かされる
最後にもう一度、宮永氏のコメントも踏まえつつMAVERICK IIのサウンドを確かめておこう。今度はMacbookAirとCHORDのポータブルDAC/ヘッドホンアンプ「Hugo 2」を組み合わせた。再生ソフトにはRoonを用いた。
Punch Brothers『Phosphoruscent Blues』(96kHz/24bit)の2曲目「Julep」では、冒頭のウッドベース・ソロを濃密に鳴らす。弦の軋みがリアルで、ウッドベースのボディが振動する様子が伝わってくる。また、MAVERICK II特有の立体的な空間再現が、Hugo 2の駆動力と空間再現性とあいまって非常に高いレベルで引き出される。ギターやバンジョーの響きは煌びやかで、音抜けの改善の効果が改めて確認できる。
Blur「Girls & Boys」(48kHz/24bit)は四つ打ちのギターロックだが、情報量の多い中高域を心地良く解きほぐしてくれる。ディストーションギターやハイハットが楽曲の主導的な役割を担うなかで、ボーカルが埋もれない。ベースと四つ打ちのキックは安定感とクイックネスを兼ね備えている。
キリンジ「エイリアンズ」(96kHz/24bit)では、アコースティクギターの低音弦をピッキングしたときに鳴る低い帯域の音が、BAドライバーだけで構成されたイヤホンでは出せないであろう実在感を備えている。高域から低域までのシームレスなつながりも確認できる。ボーカルの艶や味わいを引き出してくれるのもMAVERICK IIの魅力で、この点にフォーカスして旧機種と聴き比べると差が大きかった。
Childish Gambino「Redbone」(96kHz/24bit)は現代的なR&Bで、低音メインのトラックに浮遊感のあるボーカルが乗る。MAVERICK IIで聴くと低域のレイヤーがはっきり見え、かなり低い音域まで音階や音色が捉えられている。低域に情報量が多いトラックに歌が乗り、かつアンビエントなSEが組み合わされるこの手の楽曲において、MAVERICK IIは強みを発揮してくれる。
MAVERICK IIを聴くとクリアで抜けの良い中高域にまず目が行く。そして解像感のさらなる向上にも目を見張るものがある。しかし、少しだけじっくり聴くと、低域の階調と実在感が増して、音楽の芯になる表現力がさらに高まっていることがわかる。だからこそ、MAVERICK IIでは音楽がよりダイナミックに聴こえるのだろう。
評価の高かったモデルを次世代に刷新することは、当然難しい作業だったはずで、実際の開発エピソードを聞くと、やはり難産だったというMAVERICK II。だがそのサウンドは大幅な飛躍を遂げており、プロセスを知るとさらに納得できる。MAVERICK IIのサウンドは、ハイブリッド型イヤホンの新しい基準になるものといえるだろう。