【特別企画】フルCHORDシステムで試聴
CHORD「SPM1400MkII」を聴く ー 音楽の躍動を余さず再現する最高峰パワーアンプ
英CHORD Electronicsは、「DAVE」をはじめとするDACでデジタルオーディオの最前線を切り拓いてきた一方で、ブランドが最初に手がけた製品であるアンプのカテゴリーでも、多くの愛好家を魅了し続けてきた。今回、オーディオ評論家の角田郁雄氏がこのCHORDのアンプに焦点を合わせ、最新モデル「SPM1400MkII」をCHORDのフルシステムで聴き、その技術と音質を解説した。
■オーディオブランドが築き上げた“ロングラン技術”に着目する理由
私は最先端技術を搭載したオーディオ製品を積極的に聴いてその技術を探ることの一方で、世界のオーディオブランドが長年大切にしてきている伝統の技術と音づくりを掘り下げることも好む。たとえば、マッキントッシュなどのそれが例に挙げられる。
時にそこに見えてくるのは、どこにも類を見ない独創的な技術発想である。こうしたいわば“ロングラン技術”とも言うべきものは、最新製品が搭載する先進技術よりは目立たぬ存在かもしれないが、振り返り、掘り下げていくと、そこには伝統を生かした高度な技術と音づくりが根づいていることが理解できる。
その意味で、久しぶりに心から素晴らしいと感じるパワーアンプと巡り会った。イギリスのCHORD Electronics(コード・エレクトロニクス)のモノラル・パワーアンプ「SPM1400MkII」である。これはステレオ・パワーアンプ「SPM1200Mk2」をモノラル化したモデルだ。
私はこれまでCHORDの歴代のDACを、「DAC64Mk2」「QBD76HDSD」、そして最新の「DAVE」とリスニングルームで使ってきた。それぞれのDACをCHORDのアンプシステムで聴く機会もあった。
そして今回、僥倖にも私のリスニングルームで、CDトランスポート兼ハイレゾオプティマイザーの「Blu Mk2」とDAC「DAVE」をデジタル・プレイバックシステムとして、アンプにSPM1400MkIIを2台用いた“CHORDオンリー”のプレイバックを体験する機会を得ることができた。
組み合わせたスピーカーシステムは、CHORDのシステムにデザイン的にもマッチするVivid Audioの「GIYA G3」である。
■洗練された佇まいの中に高度な技術と音楽再現力を内包する
このSPM1400MkIIであるが、CHORD Electronics社のCEOであり本機の開発者でもあるジョン・フランクス氏が同社のアンプ技術を詳細に語ったインタビューが、すでに本サイトで紹介されている(関連ニュース)。よって今回は、本機のエッセンスを取り上げて紹介することにしたい。
SPM1400MkIIに限らず、CHORDのアンプを前にするとまずその美しい筐体デザインに魅了される。ジョン・フランク氏は、スペインの建築家 ガウディが設計したサクラ・ダ・ファミリアのような壮大な建造物が好きなのだというが、意匠からもそれを感じることができる。
このデザインはCHORDのプリアンプ、パワーアンプ、CDプレーヤーなどを重ねると近未来の建造物のようなイメージが得られるように意図されている。その象徴と言えるのが強固な支柱のような脚部「インテグラ・レッグ」である。
一方で今回試聴したモデルのように、ラック等に収めやすくするためにこのインテグラ・レッグを省いて、代わりに両サイドにアクリルブロックを取り付けてシンプルなデザインにすることも可能である。こちらもまた、趣きの異なる洗練された姿を見せてくれる。
この美しい筐体に盛り込まれた技術で、注目してほしいのはやはり電源部である。ジョン・フランクス氏は、ブランド創業以前は航空機(特に戦闘機)の電源開発に従事していて、そこで高い評価を受けた。特に戦闘機においては、航行制御に加えてレーダー、無線、ミサイル装置、機銃など膨大な数の制御機器が搭載される。もし電源の性能が不十分で故障や電力不足などがあれば大変な事態となる。
そこで各部に余裕のある電源供給が行える、信頼性の高いスイッチング電源を開発したのである。しかも戦闘機にはスペースの余裕もないので、電源を一体型のモジュール・ボックス化したのだという。
やがてジョン・フランクス氏は、自身のオーディオの趣味にもこの電源を生かそうと思い、自作のパワーアンプに使ってみたそうである。これがブランド創立のきっかけともなった。
■オーディオブランドが築き上げた“ロングラン技術”に着目する理由
私は最先端技術を搭載したオーディオ製品を積極的に聴いてその技術を探ることの一方で、世界のオーディオブランドが長年大切にしてきている伝統の技術と音づくりを掘り下げることも好む。たとえば、マッキントッシュなどのそれが例に挙げられる。
時にそこに見えてくるのは、どこにも類を見ない独創的な技術発想である。こうしたいわば“ロングラン技術”とも言うべきものは、最新製品が搭載する先進技術よりは目立たぬ存在かもしれないが、振り返り、掘り下げていくと、そこには伝統を生かした高度な技術と音づくりが根づいていることが理解できる。
その意味で、久しぶりに心から素晴らしいと感じるパワーアンプと巡り会った。イギリスのCHORD Electronics(コード・エレクトロニクス)のモノラル・パワーアンプ「SPM1400MkII」である。これはステレオ・パワーアンプ「SPM1200Mk2」をモノラル化したモデルだ。
私はこれまでCHORDの歴代のDACを、「DAC64Mk2」「QBD76HDSD」、そして最新の「DAVE」とリスニングルームで使ってきた。それぞれのDACをCHORDのアンプシステムで聴く機会もあった。
そして今回、僥倖にも私のリスニングルームで、CDトランスポート兼ハイレゾオプティマイザーの「Blu Mk2」とDAC「DAVE」をデジタル・プレイバックシステムとして、アンプにSPM1400MkIIを2台用いた“CHORDオンリー”のプレイバックを体験する機会を得ることができた。
組み合わせたスピーカーシステムは、CHORDのシステムにデザイン的にもマッチするVivid Audioの「GIYA G3」である。
■洗練された佇まいの中に高度な技術と音楽再現力を内包する
このSPM1400MkIIであるが、CHORD Electronics社のCEOであり本機の開発者でもあるジョン・フランクス氏が同社のアンプ技術を詳細に語ったインタビューが、すでに本サイトで紹介されている(関連ニュース)。よって今回は、本機のエッセンスを取り上げて紹介することにしたい。
SPM1400MkIIに限らず、CHORDのアンプを前にするとまずその美しい筐体デザインに魅了される。ジョン・フランク氏は、スペインの建築家 ガウディが設計したサクラ・ダ・ファミリアのような壮大な建造物が好きなのだというが、意匠からもそれを感じることができる。
このデザインはCHORDのプリアンプ、パワーアンプ、CDプレーヤーなどを重ねると近未来の建造物のようなイメージが得られるように意図されている。その象徴と言えるのが強固な支柱のような脚部「インテグラ・レッグ」である。
一方で今回試聴したモデルのように、ラック等に収めやすくするためにこのインテグラ・レッグを省いて、代わりに両サイドにアクリルブロックを取り付けてシンプルなデザインにすることも可能である。こちらもまた、趣きの異なる洗練された姿を見せてくれる。
この美しい筐体に盛り込まれた技術で、注目してほしいのはやはり電源部である。ジョン・フランクス氏は、ブランド創業以前は航空機(特に戦闘機)の電源開発に従事していて、そこで高い評価を受けた。特に戦闘機においては、航行制御に加えてレーダー、無線、ミサイル装置、機銃など膨大な数の制御機器が搭載される。もし電源の性能が不十分で故障や電力不足などがあれば大変な事態となる。
そこで各部に余裕のある電源供給が行える、信頼性の高いスイッチング電源を開発したのである。しかも戦闘機にはスペースの余裕もないので、電源を一体型のモジュール・ボックス化したのだという。
やがてジョン・フランクス氏は、自身のオーディオの趣味にもこの電源を生かそうと思い、自作のパワーアンプに使ってみたそうである。これがブランド創立のきっかけともなった。