【特別企画】コンパクトながら音楽性まで表現
約1.6万円の高コスパデジタルアンプ、Soundfort「AS-100+」。売れ筋スピーカー4モデルと組み合わせテスト!
■KEF「Q350」との組み合わせ
KEFのブックシェルフスピーカー「Q350」は、同社独自の「Uni-Qドライバー」を搭載した上、流体力学を応用した「CFDポート」も採用するなど力の入ったエントリーモデルだ。
今回聴いたスピーカーの中では、一番大型のモデルだ。一聴して中高域がシャープで、聴感上の解像度はとても高い。ショパンでは、位相特性に優れたドライバーを搭載するメリットをまざまざと感じられた。スピーカーの角度をしっかりと決めると、目の前に天井の高い壮大なサウンドステージが出現し、それぞれの楽器の位置関係が明瞭に表現される。
コルトレーンは、1トラック目「パート1:承認」で左チャンネルから聴こえるサックスの立ち上がりが優れており、楽曲全体をスピードのある表現で聴かせてくれる。ジミー・ギャリソンのベースは最低域まで伸びていないものの、胴鳴りの表現力などは中々のもの。テイラー・スウィフトは少々あっさりとした音調だが、キャビネットが大きいことで音に余裕があり、ここは同時試聴した他のスピーカーにないアドバンテージを感じた。
■B&W「686S2」との組み合わせ
B&Wのエントリーシリーズ“600 Series”に属す2ウェイ・ブックシェルフスピーカーが「686S2」だ。新設計の5mmボイスコイルが搭載されたバス/ミッドレンジユニットと、優れた高周波レスポンスを持つ分離型ダブルドーム・アルミニウム製トゥイーターが搭載されている。
686S2は、今回の試聴でAS-100+と一番相性が良かったスピーカーだ。筆者は音が出た瞬間に「おっ」と軽く後ろに仰け反った。情報量や上下のfレンジなど、オーディオ的な表現力が抜群に良い。ショパンはオーケストラを構成する楽器にリアリティがあり、抑揚表現もダイナミックだ。さらに骨格のあるサウンドステージが眼前に展開して、楽器の位置関係も明瞭に描写される。これは正確な音だ。
コルトレーンでは、サックスにリアリティがあり音像が前へ飛び出してくるし、ベースのグルーブ感も高い。テイラー・スウィフトでは、ボーカルのエコー成分が空間に広がる様子も明瞭に聴こえてくる。口元の動きのリアリティは、今回聴いた中でも一番優秀だった。さらにエレクトリックバスドラムの付帯音も少なく、正確な表現で聴かせてくれる。アンプの持つ中高域の表現と、スピード感のあるスピーカーとの相性が良く、AS-100+の能力が予想以上に高いことを実感した。