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<山本敦のAV進化論 第159回>

開始迫る「新4K8K衛星放送」。初のチューナー内蔵テレビ、東芝「レグザ BM620X」の完成度をチェック

公開日 2018/06/14 08:00 山本 敦
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真っ暗闇の宇宙に浮かぶ無数の星が迫り来るような臨場感。一粒ずつ明るくきらめく星屑は、その光が滲んでつぶれることなくまっすぐ飛び込んでくる。澄みきった宇宙の空気に吸い込まれそうになった。パイロットの宇宙服にカメラがクローズアップすると、光が繊維の凹凸をくっきり描き出した。平坦な部分もべたっとした平板な映像にならず、なめらかで繊細な質感を伝えてくれる。自然な色合いに紅潮した役者の顔色が、緊張感あふれるシーンのリアリティをいっそう引き立たせた。

BM620Xシリーズに搭載されている重低音バズーカオーディオシステムの効果も確かめてみた。音声のメニュー設定が細かく分かれている。サウンドモードは「おまかせ/映画/ダイナミック/標準/クリア音声」の5種類。それぞれに重低音を3段階、5バンドEQとサラウンド効果などの項目を掛け合わせた状態で設定が保存できる。あるいは「おまかせ」にしておけば、そのコンテンツにふさわしい音場が自動的に選択される。

重低音の強さなどを調整可能

映画『インターステラー』の「チャプター10」、大海原に津波が押し寄せてくるシーンをサウンドモード「映画」に設定してチェックした。肝をにぎる設定項目は重低音とサラウンド。アクション/SF系映画作品の場合は重低音の設定を一息に「強」にするとメリハリが付いて気持ちよく楽しめる。サラウンドには「ライブ」と「シネマ」の2種類があって、シネマを選ぶと音場の広がりが増し、大画面で本作を楽しむシチュエーションによくマッチした。巨大な津波のシーンでは、徐々に津波が迫り来る静かな重低音のうねりが恐怖感を掻き立てる。水しぶきに包まれるシーンでは明瞭で粒立ちの良い効果音をかき分けて、役者のセリフがストレートに飛び込んでくる。分離感が鮮明で、音のレイヤーもはっきりと聞き分けられる。“テレビ内蔵スピーカー”の常識を覆す実力を備えている。

続いてはアニメだ。『君の名は。』の物語終盤、「チャプター25」から“カタワレドキ”のシーンを視聴する。映像メニューを「アニメ」と「おまかせ」とで見比べてみたが、「おまかせ」の落ち着いた色調に対して、「アニメ」では原色のあざやかさがパリッと伝わってくる。今回はより好ましく感じた「アニメ」を選んで見た。

夕焼けの空が茜色から夜闇の青色に変わっていくグラデーションは、ノイズが浮き上がることなく、繊細かつなだらかに伸びる。映像の情報量がとても豊かだ。雲海の凹凸もくっきりと浮かび上がり、キャラクターの背中の向こう側に雄大な景色を広げてみせた。続く夜のシーンでは黒浮きを抑えながら、暗部の中の微妙に異なる色あいも丁寧に描き分けた。夜空を切り裂くきらびやかな彗星の尾は、ピークまで情報量が伸びきり、淡い光彩のグラデーションとともに、まとまった一つのオブジェクトとして強い存在感を放っていた。本作のハイライトのひとつとなるシーンを、余計な強調感を加えることなく、みずみずしく描く真面目な画作りに、素直に好感が持てた。

■スポーツモードの画質をサッカー中継でチェック

スポーツの映像は、サッカー日本代表とガーナ代表の親善試合をBDレコーダーに録画して視聴した。映像メニューは「スポーツ」、コンテンツモードは「放送」とし、なめらか調整は「クリアスムーズ/スムーズ/オフ」の3段階を切り替えながら確認した。

スポーツモードでは芝目などがよりハッキリ確認できるように調整される

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