自宅試聴室への導入の模様を紹介
MYTEK「Manhattan DAC II」導入レポ<鈴木裕編> 驚くべきMQA再生、高品位なプリ機能
■驚くほどの生々しい音を再生できる、“じわじわと愛しい”USB-DAC
音について短く書いておくと、強い音だが懐が深くなっている。音像の輪郭を筆圧強めに描くが、それが強調感につながっていない。低域のレンジは広く、うちはAvalon Acousticsのスピーカー「Eidolon」を鳴らしているが、20Hz台中盤までの領域で曖昧になったり、やわらかくなったりせず、リニアな反応を感じさせてくれる。
アナログとデジタルのボリュームについては、実は通常使う音量での差は少ない。アナログの方が微妙に音の感触がやわらかいので好みだ。音が鈍ったりギャングエラーが出たりしないので、結局アナログボリュームで使っている場合が多い。ただし、32bitの音源などはデジタルボリュームもおもしろいかもしれない。このあたり今後いろいろやっていきたい。
あと、特筆すべきはMQA CDの音の良さだ。エソテリックで再生してその同軸のデジタル出力を入れているのだが、ちょっとびっくりするくらいの生々しさだ。PCM系も352kHz/24bitまで行くとデジタル感がなくなり、元のアナログの磁気テープのニュアンス横溢である。もちろんManhattan DAC IIのポテンシャルあってのことだが。
最後にデザインについて。選んだのはゴールド・シルバーだ。最初に登場した時からのオリジナルの仕上げで、当初はストレンジな意匠だなとは感じた。マンハッタンの夜景をイメージしたのかもしれないが、クロムハーツのシルバーのアクセサリーが似合うとも思った。
しかし何度も接するうちに慣れ、いよいよオーナーとなってみるとそのオリジナリティの高さに感服している。いい意味で言うのだが、仏壇の横に置いても馴染むような、そんな和の感じさえ持つ味わい深い存在感なのだ。世界中のどのオーディオにも似ていないって凄いことかもしれない。
また、その形状も興味深い。フロントパネルはディスプレイ部がやや奥まったところにあり、立体的だ。縦と横と厚さの比率も個人的にこういう薄いプリアンプが好みでもある。以前使っていたKRELLの「KRC-HR」がそうで、ラックの一番上の段に置いて使いたいと思っている。
総じて言えば、じわじわと愛しいManhattan DAC IIだ。
(鈴木 裕)