SACD再生にも対応したユニバーサル機
パイオニア初のUHD BDプレーヤー「UDP-LX500」速攻レビュー! 注目機の画質・音質は?
『ベルリンフィル・アジアツアー2017』からユジャ・ワンがソロを弾くバルトークのピアノ協奏曲を再生すると、本機のサウンドの特徴がさらにわかりやすい。粒立ちのクリアな音でこの曲の個性的なリズムの動きがよく見えるうえに、独奏ピアノとオーケストラのフレーズのやり取りに軽快感が感じられる。映像から受ける印象と同じく、とても躍動的な演奏であることがよくわかるのだ。
CDとSACDの再生音も映像ディスクと同様、安定したバランスと骨格の力強さに本機のアドバンテージを実感した。ムジカ・ヌーダのヴォーカルとベースはどちらも輪郭ににじみがなく、特にベースは弦の張力の強さ、指のグリップの強さが際立っている。メカドライブをはじめ、不要な振動をていねいに抑えていることが功を奏しているのだろう。
山田和樹指揮スイス・ロマンド管弦楽団のルーセル『バッカスとアリアーヌ』をSACDで再生し、HDMI出力だけでなくアナログ出力の音質も確認する。音数が多く低音楽器の音圧が大きい曲なので細部が埋もれてしまいかねないのだが、アナログ、デジタルどちらで聴いても細部の分解能が高く、旋律楽器とリズムの関係が逆転することもなかった。
ホールトーンなど余韻の伸びやかさはHDMI接続の方がやや優位に感じるが、大太鼓やティンパニの打音はアナログ接続の方が安定感がある。低音の余韻が消えるときの収束時間はどちらも同じ程度に正確で、余分な響きを引きずることはない。この水準の再生音であれば、中級から上級のホームシアターに導入してもクオリティに不満を感じることはほとんどないはずだ。
パイオニア初のUHD BD対応機ということで本機の注目度は非常に高い。今回は自宅の4Kプロジェクターと組み合わせて映像を確認し、筆者が聴き慣れたサラウンド環境で各種ディスクの再生音を検証したが、普段使っているほぼ同価格帯の製品と比べても特に音質面で本機ならではの長所が感じられ、前機種との比較では画質と音質の確実な進化を見出すことができた。高品質のUHD BD再生環境を手に入れたい映画ファン、音楽ファンに幅広くお薦めできる製品である。
(山之内正)