SACD再生にも対応したユニバーサル機
パイオニア初のUHD BDプレーヤー「UDP-LX500」速攻レビュー! 注目機の画質・音質は?
画質調整は、接続するディスプレイの形式に合わせて最適化した設定がプリセットされている。ディスプレイはプロジェクター、OLED、LCDの3種類を選べるが、マスタークオリティを再現するリファレンスモードも用意されているので、コンテンツに合わせて使い分けることも可能だ。それぞれHDR用とSDR用の設定値を持っており、切り替えは信号を検出して自動的に行われるため、HDR対応ディスプレイをつないでいる場合は設定を気にかける必要はない。
操作感と使い勝手は前作のBDP-LX58とほぼ共通する印象だ。トレイは落ち着いた動きで出てくるが、今回試作機を取材した際に筆者宅のBDP-LX88と起動時間を比較したところ、UDP-LX500の方が同程度か若干短く感じられた。ディスク読み込み後にタイトルが画面中央に表示されるのでそう感じるのかもしれないが、出画まで待たされる感覚はあまりない。
本機では新たに「コンテンツ情報表示」機能を搭載。ディスク再生中にリモコンの「画面表示」キーを長押しすると、画面上にオーバーレイ表示で再生コンテンツの解像度やフーレムレート、HDRのフォーマットなどを表示可能。動画/音声のビットレートもリアルタイムで表示される。
なお、リモコンの「CD/SACD」ボタンから、再生停止中であればCD/SACDのレイヤーを切り替えることができる。また再生中でも、停止ボタンを2回押して続き再生を解除すれば、レイヤーの切り替えが行える。
■硬さがなく、自然で素直な映像描写
試聴は筆者宅の視聴室にて行った。まずはUHD BDの『ダンケルク』を見ると、高域まで自然に伸びた本機の素直な信号特性をうかがうことができる。街なかから海岸に抜ける冒頭の一連の場面では、スクリーンから自然な遠近描写が伝わり、特に明るいシーンでは空気の透明感が非常に高い。
海岸から兵士たちが民間船舶に救助される場面では暗部の階調再現に硬さがなく、青みがかった淡い光の描写が美しい。濃淡を緻密に描き分ける繊細な描写が緊迫した戦況にふさわしくないとも思えるが、この作品の場合はかえってそこにリアリティが感じられ、説得力がある。本機の映像はそうした撮影監督の意図を忠実に再現していると言えそうだ。
『エクス・マキナ』もUHD BDで視聴した。本機で再生すると屋内の人工的な照明と屋外の自然描写の対比がひときわ鮮やかで、閉じたスペースのなかの人工的で均質な空気、閉塞感がいかにもそれらしい。
場面によって女性型ロボット・エヴァの表情や肌の質感が人工的に見えたり、人間と区別がつかないほどリアルに感じたり、観る側の感覚を翻弄するような仕掛けがたくさんあるが、それを映像の質感で描き分けて見せる手法も見事というしかない。ディテールを際立たせる見せ方ではないが、強調とは無縁の素直な描写が作品の個性を鮮やかに浮かび上がらせる好例だ。