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世界で評価されるターンテーブルブランド、そのこだわりに迫る

独Transrotor本社訪問レポート ― 自社設計、自社生産へのこだわりで生み出される「ハイエンド」

公開日 2018/08/24 10:00 レポート:三浦 裕(エイ・アンド・エム) 構成:季刊・アナログ編集部
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■名門ブランドの取り扱いを経て、自身のアイデアを具現化したターンテーブルメーカーへ

そもそもこのRäke Hi Fiという会社は、父親の農業機械会社を手伝っていたJochen Räke(ヨハン・レイカ)氏がその音楽への想いから立ち上げた会社で、もともとはイギリスのターンテーブルブランド、Mitchell Engineering(ミッチェル・エンジニアリング、旧Transcripter=トランススクリプター)の販売代理店としてその歴史をスタートさせている。その過程で次第に自身が持つターンテーブルへのアイデアを具現化すべく、1971年にMitchell Engineeringの設計外注という形でターンテーブルの設計を開始したそうだ。

Jochen氏がMitchell Engineering(旧Transcripter)のためにデザイン・設計した初号機

1982年にTransrotorブランドで発売したRotaryのプラッターを外したところ。「ハンドルからインスピレーションを受けた」という程、Jochen氏は車好きでもある

Transrotorという自社ブランド名を冠したプレーヤーを発売したのが、1975年。そして1986年には、Quintessence(クインテッセンス)という別の自社ブランドによるターンテーブルを発売。このターンテーブルが、ドイツのオーディオ誌のレファレンス機として採用され、Transrotorが手がけるターンテーブルはその高い品質とサウンドの評価を確立した。

Jochen氏が生み出すターンテーブルの評価を決定的なものとしたQuintessenceのターンテーブル

現在、多くのターンテーブルが世界にひしめきあっているが、Transrotorは、そのルーツから考えれば40年を超える歴史を持ついわば「老舗」というべき存在といえるだろう。

現在、同社のマーケティングを担当するDirk(ダーク)氏(彼はJochen氏の息子でもある)によると、Jochen氏はドイツ国内におけるブランド名が必要だと考えていたそうだ。そこで名づけたのが、Transcripterと同じ“Trans”という言葉を踏襲したTransrotor。これは勝手な予測だが、その直訳どおり”回転を越えた”ところにある音楽の世界を意図したのではないかとも受け取れる。ちなみに、Transrotorの場合はあくまで自社で全て設計され、生産はドイツで行われることが特徴となっている。

そんなTransrotorのフィロソフィーは、実にシンプルだ。

「私たちの哲学は、可能な限り最高の音を出すことです。つまり、マスタリングエンジニアが記録を作成した通りの音をターンテーブルで再生したいということですね。ですから、ターンテーブルに乗せることで、音に脚色が生まれてはならないということをまず第一に考えています。 これ同じくらい大切なのが、ターンテーブルの総合的な品質です。 私たちは、少ないメンテナンスで何十年もお使いいただける製品を提供することを目指しています」(Jochen氏)

Transrotorは実はただ一度だけターンテーブルのノウハウを入れたCDプレーヤーを発売したことがある。いまではオークションで定価以上の値段がつけられることもあるそうだ

だからこそ、Transrotorは全てのアッセンブルはもちろんのこと、一部の機械加工を除き、研磨など工程も可能な限り自社で行っている。特に、ターンテーブルのデザインそのものはJochen氏にとって「譲れない部分」だそうで、彼のアイデアを社内のメカニカルエンジニアがCADで起こした上で、最終的な判断はあくまでJochen氏が行っている。その哲学は、「メカニカルで、美しくなければならない」というものだ。

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