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さらに画質を上げるテクニックも

画質のプロが困った、「調整するところがない!」 有機EL“REGZA” X920の何が凄いか徹底解説

公開日 2018/10/31 06:00 秋山真
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【2】「映画プロ」モードが凄い!

冒頭でも述べた通り、私は画質調整魔である。これは職業柄、長年に渡ってBVMマスターモニターの正確無比な映像に接して来たからで、自分が製作に携わったBDやUHD BDを使えば、実際にBVMがなくても、脳裏に焼き付いたイメージだけで簡易キャリブレーションが出来てしまうのだ。才能というより職業病である。

もちろん民生機に何百万円もするBVMと同じ画を出せというのは土台無理な話だが、ズレは可能な限り修正した上で、そのディスプレイの良い部分を活かす方向で調整するのがマコッター流だ。

しかし65X920の「映画プロ」モードで『君の名は。』のUHD BDを観て思った。

直すところがない。

いやいや、まさかそんなハズはないだろうと、各種パラメーターをいじってみたりもしたのだが、筆者の脳内イメージに最も近いのはプリセット値の状態だった。X910で気になっていた、色相が時折グリーニッシュになるクセや、若干強めだったレゾリューションプラス(超解像)の効き方まで、完璧に修正されている。思わず「BVM-X300をそのまま拡大しているみたい…」と声に出してしまったほどだ。

有機EL時代になり、各社ともBVM-X300を横に置いて画作りを行うことが一般的になったが、測定器上で近づけることは可能であっても、30型と65型(55型)という画面サイズの違いから生じる印象差を埋めるのは難しい。しかし65X920ではレグザ自慢の超解像技術に、高いコントラスト性能と正確な色再現性が加わったことで、BVM-X300との差を一気に詰めてきた感がある(性能差ではなく、あくまで印象差)。

念のため、「4Kノイズクリア」を「オート」から切の「0」に、「色温度」を「オート」ではなく6500K相当の「2」(9300K相当にする場合は7)にしているが、基本的には「ピュアダイレクト」さえ「ON」になっていれば、UHD BDや配信系のHDRコンテンツはプリセット値のままで問題ナシだ。

映像メニューを「映画プロ」にして、基本的には「ピュアダイレクト」を「ON」にすればそのほかは問題無し!

SDRコンテンツを視聴する場合は、まず「アドバンスHDR復元プロ」(輝度拡張)を「オフ」にする。「色域設定」(色域拡張)に関しては、X910では「色域復元」を選ぶと、グリーン成分が強く出て、赤が朱に傾いたり、スキントーンにも影響が出ていたが、X920では最新のアルゴリズムによってそうした傾向も影を潜めている。

とはいえ、個人的には必要無い機能なので「標準」(BT.709)を選ぶ。その結果、相対的に輝度が優勢になってしまったので、「明るさ」を「100」から「96」に下げた。「色の濃さ」を上げるのではなく、「明るさ」を下げることで対処するのがコツだ。

筆者の場合、DMR-UBZ1などのパナソニック製UHD BDプレーヤーやApple TV 4Kを、4K出力で接続することが多いので、「コンテンツモード」は「4K-BD」に固定しているが、ここはユーザー環境によっても異なる部分なので、接続機器に合わせて適宜選択して欲しい。


SDRコンテンツをBT.709で視聴する際は、明るさを96に下げた

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