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さらに画質を上げるテクニックも

画質のプロが困った、「調整するところがない!」 有機EL“REGZA” X920の何が凄いか徹底解説

公開日 2018/10/31 06:00 秋山真
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【5】アクセサリーにこだわると、さらに凄い!

X920の裏側を見て欲しい。電源ケーブルが着脱式になっている。それがどうしたと言うなかれ。これは筆者が長年メーカーにお願いして来たことなのだ。

オーディオの世界では常識となっている電源ケーブルの交換。しかし効果があるのは音質だけじゃない。むしろ画質の方が変化の度合いが大きい場合もあるのだ。ところが昨今はディスプレイの薄型化の影響なのか、ヒョロヒョロの電源コードが直出しになっている製品ばかり。あまりにも勿体無い。「これだけでX920が欲しくなった!」というマニアもおられるのではないだろうか。

早速、私が画質・音質の監修をしている試作ケーブル(オヤイデ電気とビデオマーケットの共同開発)に交換してみると、画面の鮮やかさがまるで違う。体感2割増しのピーク感と発色の良さに、解像力とS/Nの向上が目覚ましい。

通称「TUNAMI THE MASTER」。現時点で市販化は未定だが、気になる方はオヤイデ電気までお問い合わせ下さい

電源強化の威力には毎度毎度驚かされるが、一方で注意して欲しいこともある。それは電源ケーブルの中には、たとえ高級品であってもカラーバランスが崩れたり、暗部が浮いたりしてしまうものがあるということ。

輝度の変化にそれ以外の要素が追い付いていないのが原因と推測されるが、これはHDMIケーブルの世界でもよくあることだ。そこでHDMIケーブルにはパナソニックのプレミアムハイグレードタイプへのアップグレードをオススメしたい。大変良く出来たケーブルで、自宅だけでなく仕事先にも必ず持ち込むほど信頼している。

秋山氏が画質・音質の監修をしている試作ケーブルを装着。画質が激変!

電源周りでは、同じくパナソニックのUSBパワーコンディショナー「SH-UPX01」も、一度使うと手放せない画質・音質改善効果がある。

試しにX920の側面にある外付けUSB HDD用のUSB3.0ポートに挿してみると、画面の向こう側に深い奥行きが出現するのが分かる。おそらく眼には見えない背景ノイズがSH-UPX01によって一掃されるのが理由だろう。このデプス効果によって、フォーカス性能までアップしたようになり、被写体の存在感は一段と際立つ。

最後に最近筆者がハマっているLANケーブルもご紹介しよう。サンワサプライのCAT6H4LANという産業用のケーブルだ。見た目が同じCAT7仕様もラインナップされているが、CAT6というところがポイントである。

「何でLANケーブル?」と思われる読者もおられるかも知れない。しかしこのLANケーブルを経由すると、各種動画配信サービスやDLNA経由のコンテンツ再生の画質・音質が、俄に信じ難いほどアップする…。私自身も研究段階であり、これ以上書くとオカルト記事だと炎上しそうなので、ここまでにしておくが、そこまで高価なケーブルではないので、気になる人は是非お試しあれ。驚くと思います。

奥からサンワサプライのLANケーブル、パナソニックのHDMIケーブル、右上がパナソニックのUSBパワーコンディショナー「SH-UPX01」

以上の4点セットで、X920は無双状態となった。



正直、画質に関しては、これ以上どうするのかと思ってしまう。さらに時間をかけて検証すれば、細かい改善点も出てくるだろうが、パラダイムチェンジには印刷方式による有機ELパネルの登場を待つ必要があるかも知れない。それよりも多くの読者が気になるのは、やはりドルビービジョンとHDR10+への対応だと思う。

実際の効果はさておき、これだけタイトルが増えて、プレーヤーも出揃って来たとなると、テレビ側の対応は避けられない。しかしドルビービジョンはいまだにブラックボックスの部分が多く、どのテレビがどの程度きちんとデコードしているのかすら不明だ。そんな状況だからこそ、どんなことにもガチンコ勝負のREGZAには全フォーマット対応を期待してしまうのである。嚆矢となった映像分析情報や信号フォーマットの開示機能が本当に役立つのはこれからだ。

<ご注意>X920の取扱説明書には「電源コードは、本機の付属品を使用する」の指示が記載されております。電源ケーブルを交換する際は自己責任で行って頂きますようお願い致します(PHILE WEB編集部)

秋山 真
20世紀最後の年にCDマスタリングのエンジニアとしてキャリアをスタートしたはずが、21世紀最初の年にはDVDエンコードのエンジニアになっていた、運命の荒波に揉まれ続ける画質と音質の求道者。2007年、世界一のBDを作りたいと渡米を決意しPHLに参加。ハリウッド大作からジブリ作品に至るまで、名だたるハイクオリティ盤を数多く手がけた。帰国後はアドバイザーとしてパッケージメディア、配信メディアの製作に関わる一方、オーディオビジュアルに関する豊富な知識と経験を生かし、2013年より「AV REVIEW」誌でコラムを連載中。リスとファットバーガーをこよなく愛する41歳。

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