さらに画質を上げるテクニックも
画質のプロが困った、「調整するところがない!」 有機EL“REGZA” X920の何が凄いか徹底解説
【3】相変わらず地デジが凄い!
「4Kテレビは地デジが汚い!」「有機ELになったらもっと汚い!」、これは巷でもよく耳にする話だ。実際、我が家の55X910でも試行錯誤が続き、9月下旬になってようやく及第点をあげられる設定が見つかったくらいである。ところがX920と来たら、地デジ画質でも一瞬で、ウチの子を追い抜いて行った。
ご存知のようにREGZAの地デジ画質は評価が高く、「地デジ観るならREGZA一択!」というファンも多い。地上デジタル放送が開始したのは2003年だが、MPEG2、1440×1080、インターレースというスペックは、大画面テレビで観るのには全くの力不足である。
しかし「大多数のユーザーのメインソースが地デジであるうちは画質にこだわり続ける。これはもはや私のライフワーク」と開発者が語るほど、REGZAの地デジに取り組む姿勢は群を抜いていた。
最新のX920では「BS/CS 4KビューティーX PRO」と「地デジビューティーX PRO」の2段構えで対応する。
「BS/CS 4KビューティーX PRO」は12月に開始する4K放送にも対応した、超解像とノイズリダクション処理のセクションだ。放送の内容を解析することでフレーム数を特定し(例えばCMなら30フレーム/秒、映画やアニメなら24フレーム/秒)、さらにはMPEGのGOPパターン(I/B/Pフレームの順序)まで考慮し、超解像とノイズリダクションの匙加減を変えているという。
そこまでやるかという感じだが、そこまでやるから「地デジを観るならREGZA」なのだ。しかしこの処理自体はX910でも行われていた。今回X920で地デジ画質が大幅にジャンプアップした理由は後者の「地デジビューティーX PRO」だ。
昨年のZ710Xで初採用された「地デジビューティーX PRO」は、これまで汎用チップによって単純にスケーリング処理されていた1440→1920変換を、新たに再構成型超解像処理により水平4/3倍にアップコンバートする方法に変えた。しかもこの演算処理は12bit精度で行われているという。その結果、ノイズリダクション回路ではないのにも関わらず、従来では取り切れなかったジラジラしたノイズ感が大幅に減少し、精細感が一気に向上したのだ。