ハイレゾ再生やNCなど、多彩な機能を扱える
今度はMacBookもOK!USB-C/Lightning両対応イヤホン、パイオニア「RAYZ Pro」レビュー
電気グルーヴの『MAN HUMAN』はハイレゾ版を試聴した。解像度が高く、リズムの彫りが深い。奥行き方向の情景描写も緻密で、一般的なレベルのノイズキャンセリングイヤホンにありがちな閉塞感とは対極にある、とても自由で開放的なリスニングが味わえる。エフェクト音のディテールにも自然とフォーカスが合って、伸び伸びと広がる空間に身を置きながら音楽の世界に没入できる。
Hiromiの『SPARK』から「Wonderland」は、最初は淡泊に感じられたメロディラインから、ゆっくりと温かみあふれる余韻が漂ってきた。生々しい空気感に一気に引き込まれてしまった。エレキベースやドラムスのグルーブが唸りをあげ、熱い体温を肌に感じさせる。クールなピアノのメロディとのコントラスト感が面白い。パイオニアのイヤホンらしく、原音が持っている魅力をすっぴんのまま、ストレートに伝えてくれた。
RAYZ ProをMacBook Proと一緒に使ってみて、ノイズキャンセリングが仕事の集中力を高める実用性持つことが改めてよくわかった。「HearThruモード」の外音取り込みを活用すれば、オフィスの電話が鳴っていることにも気がつくし、同僚に話しかけられたときにも応答できる。
ケーブルの長さはMacBook Proをデスクに置いて、椅子に深く腰掛けながらでもちょうど良いバランスに調整されている。なにより、イヤホンのリモコン操作がiPhoneと同じ感覚でMacでも使えることがありがたい。スマートボタンにはユーザーがよく使う任意の機能が割り当てられるので、例えばダブルクリックをFaceTimeの起動に割り当てておく、といった使い方も良さそうだ。
Bluetoothイヤホン全盛期のいま、有線接続イヤホンなんて…、と思われるかもしれないが、RAYZ Proを使ってみると、iPhone/MacBookとの連携スピードの速さ、48kHz/24bit対応の高音質、本体の充電が不要であることなら、デジタルワイヤードイヤホンならではの様々なメリットが見えてくる。
使用時にイヤホンが消費する電力量は驚くほど小さい。充電用端子を持たないUSB Type-Cの変換ケーブルを使って音楽を聴いている時も、スマホ側のバッテリー切れを心配し過ぎる必要はない。
ワイヤレス接続のイヤホンにつきまとうレイテンシー(遅延)の発生についても、ワイヤードイヤホンなら気にならない。スマホでゲーム、映画やドラマをよく楽しんでいるという方は、RAYZ Proをぜひ使ってみてほしい。
(山本 敦)