[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第232回】高橋敦の中野“ポタ研”滞在記。ダイソーとフォスターがサンプラザで出会った
そしてその幅広さのとどめがこちら!ダイソーのヘッドホンにフォスターのドライバーを積んでしまったというコレだ!
驚きなことに、聴いてみたら君の生まれの不幸を呪わずにはいられないレベルでダイソーサウンド!もちろんグレードアップはされているのだが、ダイソーのヘッドホンやイヤホンによくあるモコモコとした感触は不変!不変すぎる!ドライバーは優秀なはずなのに、この音になるとは……敗北と屈辱にまみれたフォスタードライバーからの「くっころ」が聴こえてくるような熱いサウンドだ。
ヘッドホンのサウンドにおいてハウジングを中心としたアコースティック要素が持つ決定力。その大きさを改めて思い知らされた。
【第1位】MDR-CD900FS!? あの定番モニターにFOSドライバーを移植!
そしてその悲劇の元凶でもあるFOSTER alliance programのブースだが、こっちはこっちでまた別の改造作例を参考展示。Sonyのド定番モニターヘッドホン「MDR-CD900ST」にフォスター製ドライバー「MT040A」を移植した2作例だ。
普通のMDR-CD900STのルックスを維持している方は、ドライバーをマウントするフロントバッフルを新規作成してフォスタードライバーを搭載した作例、バッフルMOD。
ルックスからして違っている方は、それに加えてハウジング側にも新規作成パーツを使いドライバー背面の容積をアップしたという作例、バックカバーMOD。
これらはカスタムIEMブランド「くみたてLab.」によるもの。コンテスト参加者の参考に、という意図からの作例とのことだ。
優秀なドライバーというパーツが公式に供給され、そして自作系マニアの多くは電気的な知識や技術はすでに備えている。となるとハウジングであるとか諸々の「機構設計」の部分が大きな課題として残されがち。そこに「超定番モデルで各パーツごとの供給もされている900STを使ったこんなアプローチの仕方もあるよ」という例を示してくれたわけだ。
音の印象としては、バッフルのみMODの方は900STらしい硬質で明確なアタック感も生かされており、順当に強化された「900ST Plus」的なサウンド。
バックカバーMODだと900ST感はやはり減少。代わりに中低域に余裕が生まれ、900STの強化版ではなく「900STのパーツを流用した別のヘッドホン」的な魅力が際立ってくる。ダイソー改造と同じく、バッフルやハウジングといったアコースティックな部分が音にもたらす影響の大きさも感じさせてくれた作例だ。
というわけで今回は「これぞポタ研!」といった展示のワンツーフィニッシュ!11月2日「秋のヘッドフォン祭」での「イヤホン・ヘッドホン自作コンテスト」が今から楽しみだ。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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